自然豊かな場所で、子どもと一緒にのびのびと色々な経験をしたいけれど、仕事もあるし都市の暮らしは手放せない……。ところが、そんな環境でも「ネイチャー育児」をかなえている人がいるんです。週末のキャンプだけでなく、自然豊かな土地への移住や二拠点暮らしを実践している人たちに、その魅力を語ってもらいます。

暮らし方を変えて「ネイチャー育児」実践中

ワークと育児をバランスよく! 子連れワーケーションという新選択肢

 リモートワークなどを取り入れる企業が増え、働き方の自由度が高まっています。そんな中、新たな選択肢として注目されているのが、旅行先で仕事をする「ワーケーション」です。

 ワーケーションとは、Work(仕事)とVacation(休暇)を組み合わせた造語。リゾートや地方など普段の職場とは異なる場所で働く労働形態のことをさし、休暇を利用して滞在先で仕事をする「バケーション重視」と、環境を職場以外に移して働く「ワーク重視」のスタイルが見られます。

 今回紹介するのは「ワーク重視」のワーケーションを子連れで実践した、人事サービス企業のROXXで働く都内在住の杉浦那緒子さんです。オフィス移転事業を手掛けるヒトカラメディアに勤めていた2016年から18年まで、徳島県海部郡美波町で子連れワーケーションを経験しました。

 「息子が小2だった夏から3年間、年に2回、夏と秋にそれぞれ2~3週間行いました。子連れワーケーションでは、まず、親が仕事をしている間の子どもの居場所が必要です。バケーション重視であれば何かのプログラムに参加することもあるようですが、息子の孝太郎(仮名)は地元の小学校に通って、友達に囲まれわいわい過ごしていました」

 東京の小学校に籍を置きながら、ワーケーション中は徳島の小学校に通う。こうした選択を可能にしているのは、徳島県が独自の教育政策として「デュアルスクール」制度を設けているためです。「デュアルスクール」とは、地方と都市の両方のよさを取り入れ、2つの学校が1つの学校のように教育活動を展開する新しい学校のかたち。転校手続きなどは必要ですが、学校教育法施行令の「区域外就学」の制度を活用し、住民票の異動やそれ以外の手続きの一部を省くことができます。杉浦さん親子は、徳島のデュアルスクール児童の第1号です。

息子が徳島の小学校に通い始めたのは、友達がいたから

海ガメの産卵地として知られる、徳島県海部郡美波町の大浜海岸
海ガメの産卵地として知られる、徳島県海部郡美波町の大浜海岸

 そもそも杉浦さん親子が、ワーケーションを始めた理由とはどのようなものだったのでしょう?

 「東京にいると視覚や聴覚による情報が過剰で、息子の顔を見るより、スマホ画面や街中に設置されたモニターを見ている時間のほうが長いのではないか、という気がしていました。私が田舎育ちだったこともあり、息子にはもっと外に出て五感をフルに使って遊んでもらいたかったのです。

 ただ、そう思って夏休みに実家に預けても、息子は日がな一日テレビばかり見ているような生活で……。『環境だけが変わってもだめなんだ、友達がいなければ外に出て遊ぶ動機がないんだ』と実感したのが始まりでした」

 ちょうどその頃、当時勤めていたヒトカラメディアでデュアルスクールの参加者を募集していることを知ります。学校に通うことができれば、孝太郎くんに友達ができ、その間、自分もリモートワークができる。リモートワーク経験もすでにあったことから、迷いなく手を挙げました。

 一方、その話を聞いた孝太郎くんの反応は……「友達もいない場所に2週間も行きたくない」というもの。困った杉浦さんは、夏休みを利用して、孝太郎くんの友達作りを決行。ワーケーションの窓口となっていた人に誘われ自宅に遊びに行くと、子どもたち同志が仲良くなり気持ちが変わります。晴れて徳島の小学校に通い始めることになった孝太郎くん。その後の変化は目覚ましく、とりわけ、環境、時間、人の3要素における成長には、杉浦さんも目を見張るものがありました。

 子連れワーケーションをして得られた幸太郎くんの変化  環 境 Before インドア派でいつも自宅にこもって読書やゲームをしていた。 After 近所の川に泳ぎに行ったり魚釣りをしに行ったりするようになった。時間  Before 親と過ごせる時間が少なかった 学校や友達などの話を、親にはあまりしなくなっていた。 After 親子で過ごす時間が1日●時間増えた。 1日の出来事をよく話すようになった。 人 Before 「自分の知っている世界=東京や都会の人」しか知らなかった。 After 東京ではなく●●で物事を考えるようになった。 人や物事を●●で判断しなくなり、人間関係のトラブルが減った。 

 次のページからは、ワーケーション前後の「孝太郎くんの3つの変化」を紹介。デュアルスクールに通う手続き、メリット・デメリットなどをQ &Aで詳しく解説します!

次ページから読める内容

  • 「環境」…インドア派から一転、アウトドアを満喫!
  • 「時間」…子どもが学校での話を前よりするように
  • 「人」…多様性を学び、場所に固執することなく「夢」を語るように
  • ワーケーションの費用やデュアルスクールの手続きは?

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