子どもが生まれると、「親なのだから」「子どものためだから」といった義務感から知らず知らずのうちに自分自身を縛り、プレッシャーをかけてしまっていないでしょうか? 本特集では、「そのこだわりは本当に必要なのか?」というところに立ち返り、専門家や各界で活躍するパパやママたちへのインタビューを通じて「~ねばならない」の手放し方に迫ります。

頑張る共働き親を楽にする 「~ねばならない」の手放し方

内省することで見えてくる未知の自分の姿

 自分の中に、どんな「~ねばならない」があるのか。忙しい毎日を過ごしていると、立ち止まって考える機会はそうないかもしれません。ですが、「何となく最近もやもやする」「いつも同じような壁にぶつかっている」などと感じるとき、もしかするとそこには何らかの、「~ねばならない」が関係しているのかもしれません。

 特集5回目の今回は、そんな「~ねばならない」に苦しめられていた、ある起業家パパのストーリーです。

 都内ではあまり流通しない魚を販売する鮮魚小売専門店「sakana bacca(サカナバッカ)」など、新しい生鮮品流通のあり方に挑戦するフーディソン(東京・中央)。創業者であり代表取締役CEOの山本徹さんは、数年前まで自分の中に内在していた、ある「~ねばならない」が原因で、仕事や子育てに支障をきたしていたといいます。

山本徹(フーディソン 代表取締役CEO)

北海道大学卒。不動産業界を経て、IT関連企業に入社し取締役に就任、マザーズ上場を果たす。消費者のニーズとずれてきていると感じた水産業界に着目し、2013年にフーディソンを創業。多様化する消費者・飲食店のニーズと「もっと多くの魚を食べてもらいたい」と考える生産者をマッチングさせるべく、実店舗やWebサイトを運営する。プライベートでは、中2と小4の息子のパパ。

 そのことに気づいてからは、自分自身を深く見つめ直すようになったという山本さん。2~3年前から本格的に「~ねばならない」を手放していくと、仕事や子育てにおいて「相手のニーズをくみ取り、一段高いフェーズに立って物事を俯瞰(ふかん)できるようになり、事態が好転し始めた」といいます。山本さんはどのようにして自分自身と向き合い、何を手放してきたのでしょうか。話を聞きました。

うまくいかない理由は「~ねばならない」のせい?

フーディソン創業者で代表取締役CEOの山本徹さん
フーディソン創業者で代表取締役CEOの山本徹さん

日経DUAL編集部(以下、――) 山本さんが、自分を苦しめていた「~ねばならない」に気づいたきっかけとは、どんなものでしたか?

山本徹さん(以下、敬称略) 2013年にフーディソンを立ち上げて3~4年目あたりで、業績が伸び悩んだことがありました。なぜだろうと考えて気づいたのは、表向きは自分の責任を装いながらも、心のどこかで、サービスがうまくいかないのは任せているサービス責任者のせいだと、責任転嫁して逃げていることでした。

 根本の原因は自分にあるという認識を持ち、自我を暴走させて反射的に対応するのではなく、当事者として課題に向き合うようになると、徐々に事態が好転し始めたように思います。いかに自分自身を客観視できていなかったのかを痛感しました。

 自分の周囲で起こることは、自分の内面の問題が自分自身に表出し、周囲に顕在化しているものです。その構造を踏まえると、自分の内面を含めて客観視できなければ、周囲で起きている原因の一つに自分も関係していることにすら気づくことができません。自分自身を客観視するとは、時代とともにダイナミックに変化する社会を中心に据えて、その中で自分がどのような役割を担うべきかを考えることにほかなりません。無意識に抱えている「〜ねばならない」に気づいたのも、そうして自分自身を内省し、自己理解を進めたのがきっかけです。

―― 山本さんが抱えていた「~ねばならない」とは、何だったのですか?

次ページから読める内容

  • 自分の中の「~ねばならない」と向き合い見えてきた問題
  • 親を客観視することで、自分の親としてのあり方を知り家族との関係性が変わった
  • 自分の価値観に縛られずに、幸せになるための意思決定ができるように

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