子どもの可能性を広げるために、習い事をさせようと考える親は多いもの。では、習い事を通して、子どもにどんな力をつけてあげたいと思っていますか? 今、子育ての世界で最も重要とされている力の一つが「探究心」です。子どもの将来を見据え、探究心が育まれるかどうかで、習い事を選ぶ親も出てきています。でも、そもそも習い事で探究心を育むことって、できるのでしょうか? そこで本特集では、探究心の育て方に詳しい専門家の意見を取材し、探究心を育む視点でお勧めの習い事を紹介します。新年度の習い事計画に向け、ぜひ参考にしてください。

探究心とは、試行錯誤、創意工夫しながら熱中する心

 最近よく耳にするのが「21世紀型スキル」という言葉です。21世紀型スキルとは、国際団体「ATC21s(Assessment and Teaching of 21st century Skills:21世紀型スキルの学びと評価プロジェクト)」が提唱している、21世紀以降のグローバルでデジタル化した社会を生き抜くために必要なスキルのこと。その内容には、創造性とイノベーション、批判的思考、コミュニケーション、情報リテラシー、ICTリテラシー、キャリア設計など10の項目があります。こうしたスキルの根底となるのが、探究心だと話すのは、東京都三鷹市で「探究学舎」を開校する宝槻泰伸さんです。宝槻さんは、「子どもたちに探究心の火を着け、その火をともし続けることこそが、21世紀を生き抜く力になる」と話します。

 宝槻さん自身も「探究心に火がつけば子どもは自ら学び始める」を自説とする父親のもと、型破りな教育を受け、少年時代は歴史や自然科学の世界に熱中。探究心の塊となって自分の生きる道を見つけた、21世紀型人材です。

 宝槻さんは探究心を「熱中する心と力」と定義します。「自分の好きなこと、知りたいこと、やっていたいことにとことん取り組んでみたいと思う気持ちが探究心。つまり熱中するということです」

 熱中するというと、ゲームやスマホ、YouTubeに熱中する子はたくさんいます。それも探究心と言えるのでしょうか?

 「ぼーっと動画を見ているだけだったり、シューティングゲームのように単純作業を繰り返すだけの『熱中』は、探究しているとは言えません。探究心のある熱中には試行錯誤があります。ゲームの中でも『マインクラフト』のように、自分なりの創意工夫があって、自己表現につながるようなゲームには、探究性があるといえるでしょう」

 宝槻さんが起業をする際に、学習塾ではなく探究心を育む教室を立ち上げたのは、これからの子どもには探究心が必須だという実感があったからです。次ページからは、探究心が必須だと考える理由や、探究心の育み方のノウハウを聞いていきます。