習い事は探究心を磨くチャンス

 「これが、子どもの探究心の種をまき、芽を伸ばし、育てている親の働きかけです。今の環境では、多くの子どもは自分の力だけで芽を伸ばしていくことはできません。『○○してみる?』と大人が課題を提案し続けることで、好奇心を持ち続け、探究心の火をともし続けることができるのです

 宝槻さんによると、子どもが関心を持ったスポーツや英語などの習い事でもこのようにして探究心を育てることができるのだそう。「選手を目指してサッカークラブで頑張っている子には、例えば、『今度はスペインのチームの試合を見に行こう』『Amazonにペレの動画があったよ、見てみない?』と誘ってあげると、サッカーの世界が広がります」

 しかし、その分野に詳しかったりしない限り、適切な提案をするのは難しいのではないでしょうか。

 「その通りです。親はコンサルタントではないのですから、習い事の先生にアドバイスをもらうとよいと思います。子どもの状態や心理を分かっていて、その分野のプロだからこそ、『家庭ではこんな課題を』という提案をしてくれるでしょう

 その意味で、これからは習い事選びにも「探求心を育む環境かどうか」の視点が必要になるはずで、習い事に対する親の関わり方も重要になるでしょう。「探究学舎で探究心が磨かれていく子どもは、親が子どもに寄り添った働きかけをしています。任せきりにせず、親が伴走し、教室と相談しながら子どもの探究心を育んでいくといいですね」

 最近では、「探求心を育むこと」そのものを目的とした、新しいスタイルの習い事も登場しています。

 本特集では、注目の習い事や英語、水泳、プログラミングなど人気の習い事を通した探究心の磨き方を専門家に聞いていきます。

取材・文/福本千秋(日経DUAL編集部) イメージ写真/PIXTA