年末も近づき、時間がいくらあっても足りないくらい、忙しくされている方も多いのではないでしょうか? でも、クリスマスとなると、子供たちだけでなく、街を赤や緑の飾りで彩られていくと誰しもがウキウキするものです。今回はそんなイベントに花を添える絵本を、司書や読書アドバイザーの資格を持ち、絵本に詳しい、エコマムアンバサダーの朝日仁美さんに紹介してもらいました。(文:朝日仁美、写真:天野千恵)

 11月の半ばすぎともなると、書店や図書館にはクリスマスの絵本のコーナーが設けられ、手に取りやすい工夫がされるようになりました。クリスマスをテーマにした本はそれだけたくさんあるのです。そして、毎年新しく出版もされています。今回はロングセラー作家の作品からご紹介したいと思います。

『ペチューニアのクリスマス』
ロジャー・デュボワザン 作・絵 ふしみみさを 訳 復刊ドットコム(¥1800+税)

 主人公はガチョウの女の子ペチューニア。新雪を踏みしめながらひとりで散歩に出かけると、近くの農場でクリスマスのために丸々と肥らされた(笑)かっこいいチャールズに出会うのでした!

 何とかしてご馳走になる前に助け出したと必死に考える健気なペチューニア。実はひとめぼれしてしまったようなのです。さぁ~、二人の運命は?!

 クリスマスのお話であり、甘~い恋のお話でもあるのです。しかし、そう簡単には話は進みません。実は大冒険の要素もたっぷりのかわいいお話です。

 この本は「がちょうのペチューニア」シリーズ(全7巻)の一冊。日本では最初は、佑学社という出版社が発行していたのですが、残念ながら今はその出版社が無く、そこから販売していた本は全て絶版になっています。ただこの本もそうですが、出版社を変えて再び登場したお話も多く、今でも購入できる絵本もあります。

 今回紹介したものは3年前に再び販売開始。子供たちに大人気の絵本『うんちっち』(ステファニー・ブレイク作・絵 あすなろ書房)の翻訳を手がけた、ふしみみさをさんが担当し、挿絵のすべてがカラーとなって生まれ変わっています。旧版はもう購入することはできませんが、図書館で探して読み比べしてみるのも楽しいですよ。

 そして、ちょっとまぬけで、でも憎めないかわいいガチョウの他のおはなしもどうぞご覧くださいね。

 もう一冊は

『クリスマスにはおひげがいっぱい!? ほんとのサンタさんの話』
ロジャー・デュボワザン 作・絵 今江祥智・遠藤育枝 訳 BL出版(¥1300+税)

 クリスマスになると街のあらゆる所に出現するサンタさん。本物のサンタさんはこの偽物たちにご立腹の様子。怒った挙句、出会う偽サンタの髭をむしり取り始めます。ある時はかつらまで!!

 集めに集めた髭を大いばりで持ち帰る本物サンタさん。でも奥さんから大目玉を食らってしまうのでした。さぁ~本物サンタさん、この髭どうするのでしょうか?

 たくさんのサンタさんが出てきます。なぜ、こんなにたくさんのサンタさんが登場するか、その理由も納得がいくもので、とても楽しい絵本です。読み終わったら、どうぞ本を広げ、表紙と裏表紙で成り立つ絵を見てみてくださいね。

 あっ、くれぐれも読み終わった後にですよ。

 クリスマスの絵本は飾っておくだけでも絵になる素敵な作品がたくさんあります。

 またお話が長いものが多いのですが、「何回かに分けて読む」ということも家庭ならではの読書の時間となります。そして、今だけしかない楽しいひと時です。

 一年にこの季節だけの出会い をお子さんと楽しんでみてはいかがでしょうか?

 ママのためにおまけの一冊。

『あかり』
林木林 作 岡田千晶絵 光村教育図書(¥1300+税)

 この時期、忙しなく過ぎる日常の中にふと一年を、または子供の成長を思うひと時があるのでは?そんなママたちにこちらの絵本をご紹介します。

 娘の成長を祈り、母親が作った一本のろうそく。そのろうそくが一人の女性の人生を見守り、その小さいながらもあたたかい炎のあかりで彼女を応援し続けます。少女は成長し、嫁ぎ、母となり、そして年老いていきます。反対にろうそくはだんだん小さくなっていくのです。

 最後のおばあさんがろうそくに語りかけるページは、思わずジーンときてしまいました。

 子供のこと、家族のこと・・・とお母さんはいつでも頭をフル回転させ行動しています。たまには、こんな絵本を読んで自分のこと、自分のこれからのことを思いめぐらせてもいいのではないでしょうか? 年末年始にお時間があったら読んでみてくださいね。

朝日 仁美
横浜市出身 新潟県糸魚川市在住 
中3・小6の母
JPIC読書アドバイザーの資格を持ち、おはなし会の開催や読み聞かせボランティア養成講座などで講師として活動するほか、司書として学校図書館の整備・活用法の提案なども。
新潟日報上越かわら版にて月2回「気になる一冊」のコーナーを執筆中。
■変更履歴
本文中「復刻ドットコム」とあるのは、正しくは「復刊ドットコム」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2015/12/21]

(2015年12月18日)