大好評いただいている、ひろっしゅコーチの子育て講座も4回目を迎えました。今回のテーマは子どもとのコミュニケーションのとり方です。日ごろの会話の中で、お子さんの気持ちをきちんと受け止めることができていますか? 朝起きてから寝る前まで、ママは子どもに「○○しなさい」と、指示を出しています。一方、子どもの気持ちを聞く機会や時間は、どうでしょうか。ひろっしゅコーチのアドバイスを読むと、子どもとの会話の重要なヒントに出会えそうです。(エコマム編集部)

 こんにちは。ひろっしゅコーチこと山崎洋実(やまさきひろみ)です。

 前回、この連載(第3回 感情はぶつけるものではなくつたえるもの)で「感情を丁寧に扱うこと」について取り上げました。コミュニケーションの基本は、自分の感情と同じくらい、相手の感情も丁寧に扱うこと。相手がいま何を感じているのか、どんな気持ちでいるのか、それを想像してみることです。

行動の指示ばかりしていませんか?

 私たちは皆、自分の話しを聞いて欲しい、気持ちを受け止めてほしいと思っています。それは幼い子どもでも同じこと。でも私たちはなぜか、我が子に対しては話しを聞く前に行動の指示ばかりしてしまうもの。

 学校から帰ってきてすぐ「あのね、今日学校でマラソンがあったの。たくさん走ったから疲れちゃった」とお話しをはじめる我が子には、「いいから先にランドセルを片付けて!手を洗ったらおやつ食べて宿題ね!」転んで「痛いよー」と泣く我が子には、「泣かないの!いいからちゃんと前を見て歩きなさい!」

 子どもは気持ちを伝えているのに、お母さんは行動の指示で答えてしまう。このパターンの会話をしているお母さんがたくさんいます。きっと読者の皆さんの中にも、心当たりのある方がいることと思います。時には「それくらいで疲れたなんて言わないの!」「痛くない!」と感情や気持ちさえコントロールしようすることもありますよね。自分だけでなく、周囲の親子の会話も観察してみるとよくわかります。

 子どもは、自分の感じた気持ちをそのままお母さんに伝えています。楽しかったことも嬉しかったことも、嫌だったことも悲しかったこともまるごと全部、伝えて受け止めてほしいと思っています。ポジティブな感情もネガティブな感情も全て、その子が感じた素直な気持ち。自分の感情を丸ごとママに受け止めてもらうことで、子どもは自己肯定感を育んでいくのです。

会話のはじめはYESから。

 子どもとの会話はどんな話題でもまずは「YES」と受け止めることを意識してみましょう。まずは話しを遮らずに最後まで聞くこと。そして、「そんな風に思うなんてよくないよ」と子どもの気持ちを否定せずに、ただ「そうだったんだね」「そんな気持ちになったんだね」と受け止めてあげること。共感できないことに無理に「わかるよ」なんて言う必要はありません。ただ最後まで気持ちを受け止めるだけで、子どもの心は満たされるものなのです。

 「疲れちゃった」と帰ってきた子どもには「そうか、疲れちゃったのね(YES)」、転んで「痛い」と泣いたら「痛かったね(YES)」です。特に感情や気持ちに関わる言葉が出たら、意識して「YES」を心掛けてみてくださいね。

YES&の法則

 そうはいっても、どうしても行動を指示したいときもありますよね。そんなときも先に「YES」で感情を受け止めてから。人は「自分のことを大切にしてくれている」と感じた相手には、心を開くもの。「YES」で気持ちを受け止めてもらって満足すれば、行動の指示を受け入れやすくなります。

 だからまずは「YES」と気持ちを受け止め、そのあとに「&」で行動の指示を伝えてみましょう。

 「疲れちゃった」には「大変だったね、おつかれさま(YES)」と受け止め、そして(&)「ランドセルを片付けて手を洗ってね。おやつがあるよ。宿題の前に食べたら?」と、してほしい行動を伝えます。「痛い」と泣く子には、「痛かったね(YES)」と受け止め、そして(&)「今度からはちゃんと前を見て歩こうね」と行動の指示です。

 「YES &の法則」と覚えておいてくださいね。

行動のコントロールを手放す

 私たち人間は生来、「自分自身で決めて自分の意思で行動している」ということに喜びを感じる生き物です。例え我が子であっても、親の思う通りに行動させられる時期はほんのわずか。「言うこと聞かないと、おやつあげないよ!」の脅し文句は、いつまでも通用するものではないのです。

 だから皆さんは「Yes &の法則」を上手に使いながら、同時に少しずつ我が子への「行動のコントロール」を手放す練習もはじめてみましょう。

 例えば、今朝、あなたはお子さんにどんな指示を出しましたか?

 「早く起きなさい」「顔を洗って」「トイレは行ったの?」「朝ご飯を食べたら歯を磨いて!」「さっさと着替えて」……

 ほんの30分ほどの間に、かなりの数の指示を出しているのではないでしょうか。その中で、絶対に言わなくてはならないことはどれくらいあったでしょう。

 いきなり全ての指示をゼロにすることは難しいけれど、言わなくてすむことは言わない練習をしてみませんか?

 失敗から学ぶことはたくさんあります。自分で考え判断する経験も子どもの成長には必要なこと。命に関わることは別として、失敗してもなんとかなることは失敗させてみればいいのです。

 子育てのゴールは自立。誰かの指示がないと動けない大人に育ったら、あとが大変。お母さんがコントロールを手放すことができたら、子どもはきっと自立に向かって自分で歩いて行くのです。

山崎洋実
山崎洋実
1971年静岡生まれ。
旅行代理店、大手英会話学校勤務時代を通して接客&人材育成の楽しさを知る。結婚退職後コーチングに出会い、これまでやってきた事がコーチングだったことを知り体系的に学ぶ。その後妊娠出産、3年間の専業主婦生活を経て、身近なママ友達向けに講座をスタートした。
ママの特徴に合わせ、豊富な事例を用いて体系的に伝える講座が、ママ達の間で『目からウロコ』で『子育てが楽しくなる』 『参加しただけで元気になれる』と評判に。クチコミとリピーターで活動が広がり、瞬く間に首都圏から関東、全国へと飛び火。
日本で唯一の“ママ達の元気と輝きを引き出すコーチング講師”として、多くのママから「ひろっしゅコーチ」という愛称で慕われている。
ママ友トラブルやママカーストなどの事例をよく知る専門家としてメディア出演も多数。
http://www.fine-coaching.com