はじめに……
この夏、川崎市の小学5年生21人が、環境教育プログラム『食とくらしがつくる地球の未来 みんなでいっしょに考えよう ~夏休みチャレンジ2018~』に取り組みました。
これは、味の素と花王、環境・CSRコンサルティングのイースクエアが立ち上げた「食とくらしのサステナブル・ライフスタイル研究会」が、川崎市と協力してつくった体験型プログラム。川崎市内に工場を置く味の素と花王という2つの企業と、川崎市という自治体とが連携し、地域ならではの環境教育プログラムを開発して提供するという画期的な取り組みです。運営は、NPO法人ビーグッドカフェと一般財団法人グリーンクロスジャパン。
自分たちの身近な暮らしが、地球とどうつながっているのかを知り、暮らしやすい地球であり続けるために、自分で考え、環境に負荷をかけない生活を実践したり、周囲にも発信していく力を子どもたちに持ってもらうのが目的です。

夏休み期間中の全3回のプログラムでは、ごみ処理センターや食品、洗剤の工場見学、環境についてのお話、ワークショップなど、さまざまな活動を行いました。どれも地元・川崎市を題材にしているので、子どもたちは興味津々。終了時には、立派なエコリーダーになりました。
プログラムの様子を、自らも小学生のママである、ecomomアンバサダーの長谷川亜弥子さんにレポートしてもらいましょう。(取材・文=長谷川亜弥子、写真=北山宏一)

夏休み2018 何度も般若になりかけたママへ
作文、自由研究、毎日の日記、プレゼン発表……
宿題終わった?と聞かなくても管理できる子だったら。
好奇心旺盛で、自分で疑問点を調べようと思う子だったら。
「めんどくさい」「だるい」「やりたくない」を口にせず、積極的な子だったら。
いくつの“だったら”を子どもに求めたくなりますか?

子どもが自ら進んで宿題に取り組むようになり、親子関係が笑顔に変わるプログラムがあるなら、ぜひ参加してみたいと思いませんか?
小学生3人(小6男子、小4女子、小1男子)の夏休みの宿題に追われ、思春期・反抗期・更年期の影響で何度も般若になった筆者が、ecomom読者のお悩みを解決するヒントを探しに、「夏休みチャレンジ2018」という環境教育プログラムに潜入取材をしてきました。
工場見学やクッキング教室もあり、楽しそうなプログラム。
しかし…この「夏休みチャレンジ2018」に参加するためには、ハードルが待ち構えていました。

「200文字以内の作文!」
応募段階で、深いタメイキが……。
学校の宿題でもないのに、どうやって子どもに作文を書いてもらおう…
スタートしていきなりのハードルに、応募を躊躇(ちゅうちょ)したり、途中で作文の手が止まってしまい何日も机の中で発酵させた後、最初から書き直していた…とコッソリ教えてくれた保護者もいました。
すでにチャレンジは始まっていたようで、いきなり問われた親子関係でしたが、応募作文というハードルを一緒に越えよう!と背中を押してくれたのは、3日間の魅力的なプログラムでした。
未来のエコリーダーをめざすプログラム
» DAY-1 7/21(土) エコなまち 川崎市を知ろう
» DAY-2 8/9 (木) ワクワク工場探検(味の素・花王工場見学)
» DAY-3 8/25(土) めざせ! 未来のエコリーダー!
“夏休みの宿題テーマにピッタリ”
“川崎市と企業などが協力している”
“小学校から案内をもらったので安心”
“校長先生も見学していて内容に期待”
“猫をかぶっている子どもが少しずつ変化していく様子を見てみたい”
安心と期待、そして3日間のプログラムだから参加してみたかった、という声が多く聞かれました。
それに全3日間、おいしいお弁当付きなのも、朝が忙しいママにはありがたいですね。

普段、家族でエコについて話し合う機会が少なく、今回のプログラムを通じて、“家族でエコに取り組むきっかけにしたい”という方や、下のお子さんが手がかかる年齢で、上のお子さんに寂しい思いをさせていたので、“二人の時間を持つため”に参加したママ・パパもいらっしゃいました。
猫の手もロボットの手も借りたい子だくさんの筆者も、ハートがチクリ、共感!
《DAY-1》 エコなまち 川崎市を知ろう
お揃いのTシャツを着たスタッフが笑顔で出迎える中、緊張した表情の親子が川崎駅に集合してDAY-1が始まりました。この日の舞台は、環境学習施設「かわさきエコ暮らし未来館」と、併設するごみ処理施設「浮島処理センター」です。

まずは、これから3日間、共に活動するチーム4つに分かれての、アイスブレイクの時間。「かわさきエコ暮らし未来館」のエントランスに広がる川崎市の航空写真から、水処理施設や発電施設など、エコに関係する施設をチームごとに探していきます。
各チームには、環境教育に関心の高い大学生が1~2人ずつサポーター役としてつきます。年齢の近いお兄さんやお姉さんが、主催者側の大人との橋渡しをしてくれるので、子どもたちの緊張はすぐにほぐれていきました。

プログラムの最初は、川崎市環境局の喜多智英さんのお話。「川崎市の人口は増えている一方で、ごみの量は減少しています。空気も水もきれいになっているんだね。それは川崎市に住んでいる人や企業など、たくさんの人の努力があるからです。大切な水やエネルギーがどこから来ているのか、みなさんも一緒に見ていきましょう」
カレーから考える、世界とのつながりや地球環境のこと
イースクエアのエクベリ聡子さんからは、クイズを交えた地球温暖化のお話が。
「それ知ってる!」と子どもたちが口をそろえて答えたのは、昨年、地球温暖化の影響による大雨で、北海道の工場が水没し、ポテトチップスが品薄状態になってしまった出来事です。地球温暖化が、身近な暮らしと食に深く影響していることを学びました。

続いては、チームに分かれてのワークショップ「カレーから考える、家でのエコ!」です。
やり方は簡単。みんなが大好きなカレーの材料や調理に使うエネルギーなどが、どこから来て、どこに行くのか、一緒に「その先」を探してみようというもの。例えば水は浄水場から来ていますが、その前は川、その前は山。ではその前は? 「雨だ」と、子どもたち。
この要領でどんどんたどり、図に描いていきます。
「じゃあカレールーの箱って、どこから来ているの?」「紙だから、木だよね。山じゃない?」
たどっていく中で、カレーを食べるという行為が、自然や世界とつながっていることに気付きます。

ごみ問題を身近に感じた、「浮島処理センター」見学
この日は、同じ敷地内にある「浮島処理センター」や資源化処理施設の見学もしました。
浮島処理センターからは、焼却灰の埋立地が見えます。
「埋め立てできるスペースは、残り38年分です」
スタッフの説明に、「私が48歳の時にはいっぱいになってしまう。どうしよう」と、心配する子も。ごみ問題を“自分事”として捉えるきっかけになったようです。

同じまちにある企業の取り組みを知るために、次回は味の素と花王の工場見学へ。
» 後編はこちら
●2018年の夏休み親子チャレンジの様子がこちらでも紹介されています。
https://begoodcafe.com/news/challenge2018-report

小6男子、小4女子、小1男子の母。
ノケジョ(農業系女子)出身のバックグラウンドを生かして、ママ目線、元研究者目線で情報を発信しています。