食卓は想像以上に広く世界とつながっていた!

 続いて、DAY-1でチームごとに作った「カレーから考えるつながりの図」が机に広げられ、そこから『家⇒川崎市、日本、世界へ』を考えるグループワークに挑戦しました。

 川崎市の水やごみ、エネルギーの循環を守る取り組みや、味の素や花王という企業の、地域や世界の環境資源を守る取り組みを知った今、改めて家庭と、自分たちのまちである川崎市や日本、世界とのつながりを確認することが目的です。このグループワークには、保護者も2チームに分かれて取り組みました。

 ワークの進め方はシンプルです。カレーづくりに関係する食材、調理器具、エネルギーなどについて、それがどこから来たものなのか、そしてどこにいくのか、つながりを考えながら書き出していこうというものです。

 DAY-1でもこの図を作ったので、子どもたちにとって、作業は慣れたもの。でもさまざまな知識が増えて視野が広がった分、迷うことも増えたようです。

 「ニンジンもジャガイモもスーパーで買う。その前は農家がつくっているけど、その前は…。種はどこから来るんだろう」「カレールーの会社は都内にあるけれど、そこで作っているのかな」「電気は川崎市の発電所から来るよね。火力発電所って何を燃やして電気をつくっているの?」

3日目ともなると、すっかり打ち解けて、グループワークも真剣に話し合いながらも、和気あいあいとした雰囲気の子どもたち。保護者も同じワークに取り組みました
3日目ともなると、すっかり打ち解けて、グループワークも真剣に話し合いながらも、和気あいあいとした雰囲気の子どもたち。保護者も同じワークに取り組みました

 ここで、味の素、花王、川崎市から、それぞれが、どのように世界とつながっているのか、具体例を交えながら、説明がありました。

 「『ほんだし』の原料であるカツオは、中西部太平洋で捕られ、日本の焼津や枕崎でかつお節にされています。頭や内臓も、捨てることなく魚醤などの調味料にしています。紙箱は、海外から輸入した木材を日本で紙にしたものを使っています。川崎工場で使う電気は、DAY-2で見たように工場内で作られていて、水はきれいにして多摩川に返しています」(味の素グローバルコミュニケーション部 坂本眞紀さん)

 「花王の製品も世界とつながっています。例えば食器用洗剤『キュキュット』の主な原料は、東南アジアで生産されるアブラヤシの油。ダンボールの材料となるパルプも、海外や国内でつくられたものです。世界の天然資源を使っているから、使う量ができるだけ少なくて済むように工夫しています。また、花王も、工場から出る水は排水処理施設できれいにして多摩川に返しているんですよ」(花王サステナビリティ推進部 藤井靖之さん)

 「川崎市では、新しい技術を使って、新しいつながりをつくり始めています。ごみ処理は世界的にも珍しい取り組みをしていて、例えばペットボトルは、浮島資源化処理施設で再びペットボトルに生まれ変わらせています。さらに、最近では、トレーなどの廃プラスチックから水素を取り出し、それをホテルに供給して、世界で初めてごみから取り出したエネルギーを使うホテルが市内に建てられています。来春オープンの予定です。このように、みんなが分別してくれると、ごみも、いろいろなものに生まれ変わっているんですよ」(川崎市環境局地球環境推進室の宮川潔さん)

 子どもたちは、家庭が世界とつながっているように、企業も世界とつながっていることに気づいて、すぐにメモをする姿が見られました。

(写真左)味の素グローバルコミュニケーション部 坂本眞紀さん(写真中)花王サステナビリティ推進部 藤井靖之さん(写真右)川崎市環境局地球環境推進室の宮川潔さん
(写真左)味の素グローバルコミュニケーション部 坂本眞紀さん(写真中)花王サステナビリティ推進部 藤井靖之さん(写真右)川崎市環境局地球環境推進室の宮川潔さん

このままでは、2050年の地球がピンチ!

 お話を参考に図を描き足そうとする参加者たちに、もう1つ、大切な問題が投げかけられました。イースクエアのコンサルタントであるエクベリ聡子さんによる、「このつながりはいつまでもあるもの?」という問いかけです。

 「現在の世界の人口は78億人で、2050年には98億人になるだろうといわれています。一方で、動物の種類は約10%減るといわれます。人が増えるのに自然の力がなくなっていくと、どうなるのでしょうか」

「2050年の天気予報」では、このままCO<sub>2</sub>を排出し続けた場合に起こり得る気候変動が描かれていました。子どもたからは「怖い」というつぶやきが。「ドキっとしました。今のような未来のシナリオをつくったのは大人の責任なんですよね」と、保護者たちは子どもたちとは違う視点で、深く考えさせられたようです
「2050年の天気予報」では、このままCO2を排出し続けた場合に起こり得る気候変動が描かれていました。子どもたからは「怖い」というつぶやきが。「ドキっとしました。今のような未来のシナリオをつくったのは大人の責任なんですよね」と、保護者たちは子どもたちとは違う視点で、深く考えさせられたようです

 ここで、「2050年の天気予報」という動画を見ました。人間が二酸化炭素を出し続けた世界を描いた動画です。自然災害が増えてサンゴは死滅し、都市の機能はマヒし…。「怖い」「嫌だ」とつぶやく子どもたちの声が聞かれました。

 エクベリさんは続けます。

 「これは、このままの生活を続けて、CO2を出し続けた場合の未来です。でも私たちが今、もっと環境に配慮したら、そうではない未来が待っている。2015年に国連が、みんなでこういう未来をつくろうね、という『持続可能な開発目標』を発表しました。これは「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」といいます。この目標を達成するには、一人ひとりの工夫と行動がとっても大事です。そこで、これからみんなでエコサファリをやってみましょう」

 エコサファリとは、「エコを探す」という意味。先ほどつくったつながりの図から、チームごとに「このままだと、このつながりが危ない」と思うポイントと、「こうしたらつながりを守ることができる」という工夫を探すというものです。さらに、「こんな技術があればいいな」というアイデアを出すというミッションも。

 頭のやわらかい子どもたちは、次々に危機ポイントやそれに対する解決策を考え出します。「これ以上、埋立地を増やせないから、ごみを減らさないといけない。それじゃ、生ごみをリサイクルできないかな」とは、ひなぎちゃんのアイデアです。中には「雨水を貯めるダムを自分で持つというのはどうかな?」といった、斬新なアイデアも。

 これもチームごとに話し合った内容を発表しました。

 「温暖化が進むと台風が大型化するし、マラリアを媒介する蚊が増えて、人類が滅んでしまわないか心配。一人ひとりが環境を考えて行動するといいと思う。なるべくごみを出さないとか、グリーンカーテンを増やして、エアコンを消すとか、した方がいい。みんなが笑顔でいられる未来にしたい」(チームレッド)

 「戦争に使うエネルギーを、みんなが快適に暮らすために使う。肉類を食べるときは大切に食べてむやみに動物を殺さない。それから、エコ料理の作り方をポスターにしてスーパーに貼ると、エコを近所に広められる。自然を元に戻すアイデアに募金をしてもらう制度をつくるのもいいと思う」(チームグリーン)

 「電気を使わない家電製品や、エネルギーを使わずに発電する技術ができればいいと思う。また、消費期限切れのものは畑に埋めて肥料にし、埋立地を増やさない。あと、食べ残さないこと。みんながエコを意識すればいいと思う」(チームブルー)

 保護者からも、より社会的な視点での意見が聞かれました。

 「風力、太陽光だけでなく、地熱や潮力のエネルギー利用を進めてはどうか」「国内の食料自給率を上げるためには、生産者の育成が大切。生産業の魅力アップを図るといいのでは」「微生物や昆虫など、新しい食資源を見つけたほうがいい」「多くの人が出入りする場所に発電機を置き、人が動くことで発電するしくみがあるといい」

「こうやって言葉に出すことで考えが深まりますね」「ほかの方の意見を聞けたことも新鮮でした」とは、グループワークに参加した保護者の感想です
「こうやって言葉に出すことで考えが深まりますね」「ほかの方の意見を聞けたことも新鮮でした」とは、グループワークに参加した保護者の感想です

 地球環境を守るという大きな目標のために人類はどうあればいいのか、とても難しい課題に取り組んだ子どもたち。でも、「1人で行動するよりみんなで行動したほうが、環境をよくできるはず。だから、今日わかったことを友だちに伝えて、友だちから家族に伝えてもらいたい」とは、かなちゃんの感想です。ふみちゃんも、「カレー作りでもこんなにエコができる。エコはいつでもできるということがわかった。エコの大切さを、日本だけでなく、世界にも、宇宙にも伝えたい」と話します。子どもたちそれぞれが、自分なりに理解し、自分事化できている様子が見られました。