
前編で教えてもらった包丁使いの基本のキ。後編ではいよいよアジの3枚おろしに挑戦! おろしたアジを使ったおいしいレシピも紹介します。(取材・文/工藤千秋 写真提供/デニオ総合研究所)

なんだか難しそうだし、手間も面倒――。そんなふうに魚の3枚おろしを敬遠しがちですが、「自分でおろした魚は、断然味が違いますよ」と料理家のうすいはなこさん。
手順のコツと包丁の正しい使い方さえマスターしておけば、意外に簡単に魚をおろすことができるようになるもの。最初は難しくても、何度か繰り返すことで、上手に3枚におろせるようになります。
ぜひ、3枚おろしをマスターして、おいしい魚料理を楽しんでみてください。
アジの3枚おろし

① 頭を落とす
胸びれのつけ根と腹びれを結んだ線を、包丁をひくようにして真ん中まで切る。この時に、上から押し付けるように包丁を使わないこと。裏に返して、同じように切る。最後に骨の部分を包丁のかかとを使ってスパンと切り落とす。

② 内臓を出す
肛門のあたりにある尾びれの小さなトゲから、切り落とした頭の方向に向かって、斜めにV字にカットする。包丁の刃先で内臓をかき出して、氷水でさっと洗い、内側もキッチンペーパーなどで水気をしっかり拭く。

③ 三枚におろす
・手前が背びれになるようにまな板にアジを置く。背びれに軽く切り込み線を入れてから、その線に沿ってまな板に平行になるように包丁をまっすぐ入れる。スッとスライドさせて、中骨まで包丁を入れる。

・手前が腹になるようにひっくり返して、同じように包丁を入れる。

・尾のつけ根に逆さ包丁を入れる。

・包丁の向きを戻し、尾を反対の手でしっかり押さえながら中骨に沿って包丁をスライドさせ、身と骨を切り離す。反対側も同じように切り離す。

④ 腹骨を取る
3枚におろした身の腹骨に沿って、包丁を寝かせるようにスライドさせて腹骨を取る。
身の中心にある小骨を尾から頭の方向に向かって骨抜きで抜く。だいたい16カ所ほどあるので、身をやさしくさわって骨が残ってないか確認する。
アジの三枚おろしで作ってみよう!
3枚におろしたアジを使って、ちらし寿司とつみれ入りあら汁を作ってみました。

さっぱりした柑橘類とアジの相性が抜群のちらし寿司
材料(4人分)
- アジ(小)……3尾
- 米……1.5合
- すし酢
- 米酢……40 cc
- 砂糖……大さじ1と1/2
- 塩……小さじ1
- 柑橘(甘夏、グレープフルーツなど)……1個
- 大葉……5枚
- みょうが……2本
- 新しょうが……20g程度
作り方
- アジは3枚におろして、腹骨をすき、中骨を骨抜きで抜いておく。ざるにおき塩少々(分量外)をして10 分ほどおく。
- アジを酢少々(分量外)で洗い、きれいな酢に5分ほどつける。キッチンペーパーで水気を拭き、皮をひいてそぎ切りにする。
- みょうがは小口切りにして水にさらし、水気を切る。新しょうがはみじん切りにしておく。柑橘は皮をむいて実をとり、果汁はとっておく。すし酢は合わせ、果汁も混ぜる。
- 米を普通通りに炊いたら、すし酢を合わせて酢飯を作り、新しょうがのみじん切りを合わせる。
- 器に酢飯を盛りつけ、アジ、柑橘、みょうがをのせ、手でちぎった大葉を散らす。
味つけはアジのあらと塩だけで、十分おいしい!
材料(4人分)
- アジのあら(頭以外)……4尾分
- 大根……6㎝
- 水……600ml
- 昆布……5㎝
- 塩……適量
- 黒こしょう……適宜
- つみれ
- アジ……1尾分
- ねぎ(みじん切り)……5㎝
- 片栗粉……大さじ1/2
- 卵白(全卵でも可)……1/2個分
- 塩……少々
作り方
- アジのアラは洗って強めに塩を振り、熱湯に3秒つけて霜降りにしたら冷水にとり余分な血を洗い流す。つみれ分のアジは3枚におろして腹骨をすき、皮をひいてたたいておく。大根は拍子切りにする。
- 1のたたいた身に卵白、塩ひとつまみ、ねぎのみじん切り、片栗粉を加えてつみれのタネをつくる。
- 鍋に水、昆布、アラ、大根を入れて弱火にかける。沸騰したら昆布とアラを取り出す。
- 弱火にして2のつみれをスプーンで加えて、3分ほど煮る。
- 塩で味つけし、好みで黒こしょうをふる。
*※レシピ中の大さじ=15ml、小さじ1=5mlです。

https://www.facebook.com/htable.hana