栃木県矢板市にある58(ファイブエイト)ゴルフクラブの敷地内にある、自然をいかした循環型の農園「58ロハスファーム」が人気を集めています。ロハス(LOHAS;Lifestyles of Health and Sustainability)は、健康な生活と地球環境の保護を優先して持続可能なライフスタイルを心がけることをさしています。 農園では、環境に配慮しながら、地元の農家とも連携。採れたてのオーガニック野菜や果物を使ったレストランや売店が好評です。「58ロハスファーム」の取り組みをレポートします。(文・写真:松岡真理 写真提供:58ロハスファーム)

ゴルフ場敷地内に誕生した循環型オーガニック農園とレストラン

とれたての野菜を自然食ビュッフェで楽しんで
とれたての野菜を自然食ビュッフェで楽しんで

「ゴルフをしないママもお子さんと一緒にぜひいらしてください」。こう話すのは、58ゴルフクラブ兼58ロハスファーム総務・経理部長の池田宏明さん。クラブハウス入口の売店には、農園で育った旬の朝採り野菜や果物が並んでいます。今年の春からは、新たに農園で栽培を始めたイタリア野菜のコーナーもお目見え。軸まで甘い「カリフローレ」や白菜と似た食感の「ラディッキオ」も販売、すぐに売り切れることもあるそう。

 また、敷地内にあるレストランでは、自社農園の有機野菜や果物、敷地内でのびのび育ったニワトリの卵などを使った自然食ビュッフェが楽しめます。もちろん、ゴルファー以外も入場できます。プロゴルファーの丸山茂樹さんもお気に入りという坦々麺など12種類からメイン料理を選び、25種類のビュッフェを組み合わせるスタイル(1600円~)です。ランチタイムのみの提供ですが、そのバリエーションの多さにビックリ。例えば、かぼちゃのサラダや鶏の五目煮、麦ごはんなどの総菜やご飯もの、サラダのほか、コマツナとリンゴのジュース、黒ゴマプリンなど、体にやさしいデザートやドリンクメニューも充実しています。

 農園にはたくさんの子ヤギもいるので、タイミングが合えば、エサやり体験などができることもあります。

(写真左)国産のイタリア野菜を普及啓発するプロジェクト「グストイタリア」にて。第5回グストイタリアオープンデー「カンポプローバ in TOKYO 2015-からだにおいしいイタリア野菜-」(主催:トキタ種苗、後援:バリラジャパン)で初めて出展。展示会では、生産者や食品メーカーの流通担当者、デパートの青果バイヤーなど約250人が集まりました。<br> (写真中央)カリフローレ。カリフラワーを品種改良してスティック状に。花蕾とともに軸の部分(花梗)を食べます。バーニャカウダや肉巻きに。<br> (写真右)ラディッキオ。チコリの一種で、レタスと同じキク科野菜。抗酸化成分のアントシアニンを多く含む赤紫色が特徴です。抗酸化力の指標となるORAC値は、ホウレンソウの約2倍、ブルーベリーとほぼ同等だそう。パスタにもおすすめ。
(写真左)国産のイタリア野菜を普及啓発するプロジェクト「グストイタリア」にて。第5回グストイタリアオープンデー「カンポプローバ in TOKYO 2015-からだにおいしいイタリア野菜-」(主催:トキタ種苗、後援:バリラジャパン)で初めて出展。展示会では、生産者や食品メーカーの流通担当者、デパートの青果バイヤーなど約250人が集まりました。
(写真中央)カリフローレ。カリフラワーを品種改良してスティック状に。花蕾とともに軸の部分(花梗)を食べます。バーニャカウダや肉巻きに。
(写真右)ラディッキオ。チコリの一種で、レタスと同じキク科野菜。抗酸化成分のアントシアニンを多く含む赤紫色が特徴です。抗酸化力の指標となるORAC値は、ホウレンソウの約2倍、ブルーベリーとほぼ同等だそう。パスタにもおすすめ。

土地の有効活用で農園をスタート

会場でお話いただいた小森社長。糖度が高くハート形のキュートな「トマトベリー」とともに写真撮影。トマトベリーは、ゴルフ場敷地内の売店でも販売されています
会場でお話いただいた小森社長。糖度が高くハート形のキュートな「トマトベリー」とともに写真撮影。トマトベリーは、ゴルフ場敷地内の売店でも販売されています

 農園を始めたのは、ゴルフ場の余った広大な敷地を活用するためでした。ゴルフ場がオープンした2000年ごろから小さな農園を作り、収穫した有機野菜をレストランで提供していました。一方で、地元の耕作放棄地や農業を離れた人たちと連携し、農業法人を組織しました。敷地内の農園を徐々に拡大し、ゴルフ場内にレストランをオープン。さらに採れたての野菜をゴルフ場売店で販売していたところ、おいしさが評判になりました。2013年4月にはレストランをリニューアル、自然食ビュッフェをスタートさせました。現在、農園の面積は1200坪。育てた野菜や果物などは、今後、ゴルフ場の売店だけでなく、地元の道の駅などでも販売する予定です。

東日本大震災をきっかけに循環型農業を目指す

 2011年に起きた東日本大震災で農園は苦境に立たされました。「資材や燃料も入手できない状況だった」と、58ゴルフクラブ兼58ロハスファームの小森寿久社長は当時を振り返ります。その経験から、小森社長は、環境に配慮した循環型の自給自足の取り組みを推進しました。

 実際に農園では、ヤギやニワトリの糞を使って堆肥を作り、その土で育てた野菜をレストランで提供、余った野菜はヤギやニワトリのエサに使い、循環させています。

 またエネルギーに対する取り組みでは、太陽光発電で発電とともに売電も実施。ゴルフ練習場の南側に隣接した太陽光パネルの年間発電量は、ゴルフ場全体の年間消費量に該当するそう。エコカー充電器も設置されています。省エネと創エネを両立し、「ゼロエネルギーが目標」と小森社長は意気込んでいます。

 ゴルフ場全体では、CO2 の排出が問題となっている重油の使用量をゼロにしています。さらに林野庁の補助によって地元の木材関係者らと元気な森づくり「木の駅」協議会を設立。地域の森林保全のモデルづくりも進めています。小森社長らは間伐材を利用した木質バイオマスボイラーによって発電した熱量を、周辺の農業などの温室に利用できないか、検討しており、将来は地域をエコビレッジ化する目標をかかげています。

 58ロハスファームでは今後、チョークペイントのワークショップも定期的に開催する予定です。チョークペイントは、今、欧米で女性を中心に人気を集めるDIY。キャサリン妃がシャーロット王女のお部屋をこの塗料で全面塗ったことでも有名です。

 ゴルフ好きな人もそうでない人も楽しめる「58ロハスファーム」。緑豊かな環境と新鮮野菜が今後も人気を集めそうです。

(2015年7月15日)