全国から「途上国の子どもたちに使ってほしい」と集められた思い出のランドセル。アフガニスタンに贈るため、ボランティアが集まって梱包作業をする様子を取材してきました。(文 工藤千秋、写真提供 ジョイセフ)

11年間で14万個のランドセルを寄贈

 国際協力NGOジョイセフが2004年から取り組んでいるのが、「想い出のランドセルギフト」。全国の学校や、企業、個人に呼びかけて、使い終わって手元にあるランドセルを回収、アフガニスタンの子どもたちにプレゼントしています。

横浜の倉庫に全国から送られたたくさんのランドセル
横浜の倉庫に全国から送られたたくさんのランドセル

「2004年の5200個を皮切りに、これまで14万3000個のランドセルをアフガニスタンに贈りました。

 そもそもはランドセルの合成皮革をつくる会社クラレから、卒業後のランドセルの有効活用について問い合わせをもらったのが、きっかけです。ランドセルは6年間使えるよう丈夫につくられているものなので、卒業後もまだまだ使えるものがほとんどです。

 さっそく途上国にヒアリングをしたところ、学用品が最も不足しているアフガニスタンからぜひ欲しいという返事が。それ以来、毎年キャンペーンを行って贈っています」(ジョイセフ)。

 ランドセルが寄付されるルートは、ジョイセフのウエブサイトの告知やメディアで取り上げられた記事などで知ったという一般の人、日ごろからボランティア活動でジョイセフと交流のある企業や団体、PTAや生徒会など学校関係など。新品もしくは未使用の学用品(鉛筆、ペン、ノート)も回収し、一緒にアフガニスタンの子どもたちに贈っています。

70人のボランティアがランドセルの梱包を

「想い出のランドセルギフト」キャンペーンは毎年春と秋の2回実施。今回、3~5月に行われた春のキャンペーンでは、1万4015個のランドセルが全国から集まりました。

70人のボランティアがランドセルの検品、梱包に大活躍
70人のボランティアがランドセルの検品、梱包に大活躍

 そのうち約6000個のランドセルの検品と梱包作業を、横浜にある倉庫で実施。約70人のボランティアが集まり、たくさんのランドセルの仕分けがスタートしました。なかには小学生の子どもを連れた家族連れの姿もあります。

「今回参加してくれたのは11の協力会社や団体のみなさんを中心にした74名。ランドセルには名前や住所など個人情報がついている場合もあり、どなたにでも広くご協力をお願いするのは難しいというのが実情です。そのため、協力企業や団体から参加いただくことが中心となっています。ボランティアの集まり具合によっては、ジョイセフに寄付をいただいてボランティア参加を希望されている方にお知らせする年もあります」

 当日は、朝10時から作業がスタート。山積みになったランドセルを前に、さっそくボランティア参加者に当日の作業の流れと担当割りが説明されます。

 段ボールを開封してランドセルを取り出す係り、ランドセルが使える状態か検品する係り、同梱されている文房具などを分類する係り、検品をクリアしたランドセルに一緒に贈る文房具を詰める係り、そして送付用の段ボールにランドセルを梱包する係り……。

 たくさんのメンバーがてきぱきと、効率よく仕事を進めていきます。

子どもと一緒に参加することで、ものへのありがたみを教えたい

 地元の社会福祉協議会のボランティア募集に応募して子ども2人と一緒に参加したという久保瑞枝さん。「わが家でも子どもたちが使っているランドセルが、どんなふうに贈られるのか興味があって、参加しました。子どもたちにも一緒に体験してほしいと思って連れてきました。どんな感想を持ってくれるか楽しみです」

ランドセルに文房具を詰める係りを担当する子どもたち。黙々と集中して作業します
ランドセルに文房具を詰める係りを担当する子どもたち。黙々と集中して作業します

 同じく家族で参加した伊本直美さんも、「ものがあふれた暮らしをしている子どもたちに、ものを大切に扱う心やありがたみを伝えるきっかけになれば」と語ります。

 今回、ひとりで参加した名取理絵さんは7,8年前に文房具を贈るという形でこのキャンペーンに参加した経験があります。「今回もラジオの番組を通して文房具を寄付したところ梱包のボランティアにも参加させてもらえるというのでやってきました。たくさんの数のランドセルにびっくりしましたが、ただ寄付するだけでなく、自分で作業に参加できると実感もひとしおですね。このランドセルやクレヨンのひとつひとつにみんなの想いがこもっているのかと思うと、胸が熱くなります」

ランドセルと一緒に想いを届けたい

 昼食後はアフガニスタンに何度も足を運び、当日もボランティアとして参加していた写真家の内堀タケシさんが、アフガニスタンの子どもたちの様子を話してくれる時間も設けられました。椅子や机はもちろん建物もない学校で、ランドセルを受け取り喜ぶ子どもたちの様子などが映し出されたスライドを見ながら、参加者も真剣に耳を傾けます。

アフガニスタンに詳しい写真家の内堀タケシさんが現地の様子を教えてくれます
アフガニスタンに詳しい写真家の内堀タケシさんが現地の様子を教えてくれます

「ランドセルは学用品を入れるかばんとしてだけでなく、教室の机でもあるんです」という内堀さんの言葉が印象的です。

 夕方までかかってこの日の梱包作業を終了。これらのランドセルは6月に横浜港を出発し、8月にはアフガニスタンへ。文房具などが平等にいきわたるよう、現地で詰めなおして各地の学校に10月には配付されます。

 春のキャンペーンは終了しましたが、9月1日~10月15日には秋のキャンペーンがスタートします。

 もし、自宅に眠っているランドセルがあれば、アフガニスタンの子どもたちに使ってもらうことをお子さんと相談してみてはいかがでしょうか?

【ランドセルに添えられたメッセージ(一部抜粋)】

 今回、中学に進学した娘の部屋にお役御免になって、放置されたランドセルが、まだまだ誰かの笑顔のきっかけになるかもしれないかと思ったら、わくわくしてきました。
娘も、この話を聞いて大賛成でした。想い出のランドセルが、また誰かの想い出を作ってもらえるなんて、本当に素敵です。
直接、渡したい気持ちでいっぱいですが、ジョイセフさんにお願いしたいと思います。
気持ちを乗せておくります。未来を夢見る子どもが1人でも多くなりますように。

ランドセルを受け取ってうれしそうな子どもたち
ランドセルを受け取ってうれしそうな子どもたち
取材協力・国際協力NGO ジョイセフ
1968年日本で設立された国際協力NGO。開発途上国と東北の妊産婦と女性の命と健康を守るため、「女性に、自由を。ママに、希望を。女の子に、夢を」をキャッチコピーに幅広く活動。http://www.joicfp.or.jp/