育児は毎日ドタバタ、うまくいかないことの連続。「育児を楽しみましょう」と言われても、「そんな余裕はない」と戸惑った経験を持つ人もいるのではないでしょうか。「今の自分が幸せかどうかは、今決めなくてもいい」と、大人気絵本作家のヨシタケシンスケさんは言います。コロナ禍で不安な時代の家族の在り方、心の持ち方についても聞きました。

「苦労は買ってでもしろ」は本当か

 「若い頃の苦労は買ってでもしたほうがいい」と年上の人たちから言われたことはありませんか。僕は言われました。だけどこれ、本当にそうでしょうか。

 僕は、ごく普通の家庭で何不自由なく育ち、両親の離婚といった大きなトラウマになるようなことも起こらず、のほほんと成長しました。だから、長い間ずっと自分には苦労が足りないと思っていたんです。苦労を重ねた末につかみ取れる真理というものがきっとあるはずで、何もつかんできていない自分は、人に意見などしちゃいけないんだ、と。

 でもその後いろいろな人と触れ合う中で、どうやらそんなことないぞ、と気づきました。

 「苦労は買ってでもしろ」と口にするのは、やっぱり苦労した経験のある人なんですよ。元を取るために、苦労を高く売りたいんですね。でもそこには根拠がありません。苦労せず立派に成長し幸せに生きている人もいるし、苦労を重ねたけれど全然人間に磨きがかからなかった人もいる。苦労の量とその人の人間としての価値との間には何の関係もないんだ。だから、しないですむ苦労ならしないにこしたことはありません。

次ページから読める内容

  • 「よかれ」と思って他人に余計なことを言ってしまう
  • 「今幸せか?」の判断は保留する
  • 「わが家のお母さんは太陽でなく月です」でもいい
  • 変わらない部分に目を向けよう

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