ワンオペ育児、男性育休取得率や女性管理職比率の低さ……職場や家庭で、男女間のギャップを感じる瞬間は少なくないでしょう。世界経済フォーラム(WEF)が発表した「ジェンダー・ギャップ指数」(男女平等指数)で、日本は121位(調査対象153カ国中)と、過去最低の順位を記録しました。あなたは、この結果をどう受け止めますか。次世代の子どもたちを育てる親にできることとは。DUALならではの男女両面からの視点で識者たちに意見を聞いていきます。

第3回は、ジャーナリストの治部れんげさんに聞きました。

娘「私が大臣になって、閣僚にもっと女の人を増やそうかな」

 先進国では最低、日本としての過去最低順位を更新したことは、これまで「ジェンダー・ギャップ指数」を知らなかった人にもショックを与えたようです。確かに残念な数字ですが、私は「そんなものかな」とも思いました。小学5年生の息子と2年生の娘に伝えると、息子は「ふーん」という感じ、娘は「もっと低いと思っていた」という反応でした。

 子どもたちの反応が薄いのは、日本の問題を既によく知っているためです。

 2018年の夏、東京医科大学の入試における女性差別が明らかになりました。これまで、日本に制度上の差別はないと信じていた大人たちにとって、これは大きな衝撃でした。大人の中には「女性は医師になっても出産育児で辞めるから、男性優遇は仕方ない」という人もいましたが、子どもにそんな屁理屈(へりくつ)は通用しません

 息子に話すと「それは、クソだね」と一言で片づけていましたし、娘は「そんなことをする校長先生はクビにしたらいい」と、これまたストレートな反応でした。不正は不正であり、罰を受けるべきだ、というわけです。

 数カ月後、娘と一緒に通りかかった「男女共同参画センター」で、一つの表を見つけました。それは、列国議会同盟の調査に基づき、世界の国会議員に占める女性比率を示したものでした。最新版2019年のデータを見ると、日本は193カ国中165位です。(URLを2ページ目最後で紹介)

 これを見た娘は「嫌だ! 何で日本がこんなに低いの?」と言いました。よい機会なので、日本は国会議員に女性が少ないこと、大臣にも女性が少ないことを説明しました。センターでは、日本の閣僚が並ぶ写真を貼っていたので「ほら、女性の大臣が一人しかいないでしょ」と伝えた後、隣にあったニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相の写真を見せて「世界には女性が首相の国もあるよ。赤ちゃんが生まれたら、お父さんが世話をすることもあるし」と話しました。すると娘は「それなら、私が大臣になって、もっと女の人を増やそうかな」と言っていました。

 日本が今回、ジェンダー・ギャップ指数で121位という不名誉な結果になったのは、政治家や大臣に女性が少なく、歴代首相に女性がいないことが大きな要因です。日本全国各地には「男女共同参画センター」があり、私と娘が見たような表やデータ、写真が貼ってあることが多いです。今回のニュースでショックを受けた方、もっと知りたい方はぜひ、お近くのセンターに親子で行ってみてください。

 それにしても、日本の男女格差を考えると不安に思う人もいるでしょう。教育費を貯め、小さい頃から習い事をさせても、女の子は活躍の余地がないなら、頑張る意味がないのでしょうか。日本を脱出した方がいいのでしょうか。