本来、男女共に利用できるのが両立支援制度のはず

 ジェンダーギャップを埋め、日本の空気を変えるためにも提言したいのが、子育て世代の「男性育休100%取得」です。

 日本は令和時代になりましたが、昭和の時代は9割以上が結婚し、専業主婦世帯が大半だった職場では大黒柱を担う男性たちがほぼ仕事のことだけを考えていればいい環境でした。子育てに関わる予測不可能な突発事象の数々は、家庭や地域において起きていても、職場では起きることがなく、その突発事象に関わる柔軟な学習経験が職場でなされることもほとんどありませんでした。職場における子育てへの許容度はとても低く、予測不可能な子育ての事象はじゃまものでしかなかったのではないでしょうか。

 一方、同じ時期に他の先進国では、共働き社会の実現を目指して、男女社員とも職場で子育てに関わる突発事象の対応が頻繁に行われ、学習経験が蓄積されていきました。仕事と子育ての両立や、予測不可能な事象への許容度が職場において高くなっていきます。

 平成時代になり日本でも共働きが増えていきます。特に2000年以降は総合職の女性が職場で増え、2010年以降に子育てのライフステージに入っていくと、仕事と子育ての両立という問題が職場で生じるようになります。こうした予測不可能な子育て事象に慣れていない職場でも、総合職の女性たちが子育てを原因として離職することがないよう、セーフティーネットとして制度を整えていきます。

 現在は、女性社員が産休育休を取って復職することが難しくない状況にまできました。大企業では、育休復帰100%という話もよく聞きます。しかし、仕事と子育ての両立支援制度は本来、男女共に利用できるにもかかわらず、女性社員だけが利用し、男性社員が利用することは稀という状況が同時に起きました。この状況において、なぜ男性育休100%推進に意味があるのでしょうか? 育休なんて、取りたい人が取ればよいのではないのでしょうか?

写真はイメージです
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