ワンオペ育児、男性育休取得率や女性管理職比率の低さ……職場や家庭で、男女間のギャップを感じる瞬間は少なくないでしょう。世界経済フォーラム(WEF)が発表した「ジェンダー・ギャップ指数」(男女平等指数)で、日本は121位(調査対象153カ国中)と、過去最低の順位を記録しました。あなたは、この結果をどう受け止めますか。次世代の子どもたちを育てる親にできることとは。DUALならではの男女両面からの視点で識者たちに意見を聞いていきます。

まずは、作家の柚木麻子さんの意見をお届けします。

管理職に挑戦できないのは女性の自己責任か

 「ここまで低い順位となると、男女が不平等であることが、すでに当然のものとして私たちの意識に染みついてしまっているのではないか」。ジェンダー・ギャップ指数121位というニュースを聞いて、私はとっさにそう感じました。というのも、以前から私の気持ちをざわつかせているさまざまな出来事が、この順位につながっているような気がしたんです

作家の柚木麻子さん
作家の柚木麻子さん

 例えば以前、テレビであるタレント政治家が、主体的にジェンダー・ギャップを埋めようとする女性が少ない、という趣旨の発言をしました。女性はいろいろな理由で諦めてしまうし、自分からやろうとしない。こっちは機会を与えているが向こうが受けないというだけだ、といった内容の主張でした。いやいやいや、おかしいでしょ。

 もし、女性が企業で管理職になる機会を与えられても、家事や子育てを一手に担っていたら、プライベートが回らなくなるから諦めよう、と考えても仕方ないですよね。それは本人の努力不足じゃない。でも周りも本人さえも「受けられなかったのは本人のせい」と思ってしまう。女性が役職につけないのは、女性の自己責任だと思い込まされている。121位という結果を考えれば、こうした考え方が、私たちの中に無意識に染みついていても不思議ではないと思うんです。

 似たようなことは私の経験上もありました。先日、遠方の仕事に行くため子連れで飛行機に乗らねばならず、搭乗のときにもたついて迷惑になるといけないから、優先搭乗(障害者や家族連れが先に搭乗できる制度)を利用させてもらったんです。でも、それでももたついてしまい、後ろから来た方に舌打ちされて怒られて。「子どもを連れて飛行機に乗らなきゃよかった」と、乗っている間泣きそうでした。そのときの私は「自分が悪いからうまくいかないんだ」と思ったんですが、今考えると果たしてそうだったのか。こういう落ち込む出来事が起こるのは、今回の順位と無関係ではないと思うんです。

 私も含めてですが、目の前の理不尽や不平等を、無意識に当然のものとして受け入れてしまっていないでしょうか。受け入れることは、生きづらさにつながります。日経DUALの読者の皆さんも、頑張っているのに毎日がうまくいかない、なんだか苦しいと思うことがあったら、一回疑ってみてほしいです。「これ、121位と無関係なのかな。本当に私一人が悪いのかな」と。ひどい順位でしたが、おかげで騒ぎになり、多くの人が考えるきっかけになったこと自体は、よかったのかもしれません。