支援者や専門家らに話を聞き、社会と親がひきこもりの人たちとどう向き合うかを考えるこの連載。今回は、不登校やひきこもり当事者・家族のサポートを20年以上続けているNPO法人「遊悠楽舎」代表の明石紀久男さんに、支援現場の実情や課題について、そして不登校・ひきこもりの子どもと心を通じさせるにはどうすればいいかをたずねました。

「休みたい」子どもたち 用意された人生に疲れ切る

 明石さんは2001年、神奈川県逗子市で、不登校児の居場所となるフリースペース(現在休止中)として「遊悠楽舎」を始めました。当初は「何かしなければ」という思いから材料や道具を用意し、たき火や犬小屋作りなどに取り組んでいました。すると子どもたちは、居場所に来ると開口一番、「ひげさん(明石さんのあだ名)、今日は何をするの?」と聞くように。

 これではいけない、と思った明石さんは「君たちはどうしたいの?」と、聞き返すようになりました。当初は「どうしたいって言われても……」と言葉を濁すばかりだった子どもたちは、数カ月後、こんなことを言い出します。

 「おれたちさあ、休みたいんだよね」

 「不登校でずっと休んでいるようなものでは?と思ったのですが、やりたいようにさせてみました」と、明石さん。子どもたちは文字通り、部屋でゴロゴロし始めました。お菓子の袋などのごみが散らかり、明石さんはイライラして「胃が痛くなるほど」でしたが、黙っていました。

次ページから読める内容

  • 自分で選ぶ力を奪わないで 親をおりることが大事
  • ひきこもりの原因探しには意味がない ありのままを認める
  • 親も社会も、弱さを認めさらけ出す

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