冬休みの宿題として、百人一首の暗記を出されたお子さんも多いのではないでしょうか。正月明けにはかるた大会を行う学校もあるでしょう。ただ丸暗記をするのは大変です。まずはお子さんが興味を持つようにしましょうかるた遊びで、歌の世界に親しんでみるのはどうでしょうか。坊主めくりをはじめ、さまざまな遊び方があり、その先には、競技かるたの世界が広がっています。映画化もされた漫画「ちはやふる」の人気で、近年は、注目度が高まっています。お正月に、家族でかるた遊びをしてみませんか。
小倉百人一首かるたの楽しみ方について、一般社団法人全日本かるた協会の鶴谷智子さん、片山珠美さんに伺いました。

 小倉百人一首は、鎌倉時代の歌人・藤原定家が天皇、親王、貴族、僧侶など100人が詠んだ歌を1首ずつ選んで編さんした歌集で、歌は主に「古今和歌集」「新古今和歌集」などから選ばれています。

 平安時代には、すでにかるた遊びの原型があったとされます。「それが江戸時代になり、木版画の発展や南蛮渡来の『かるた』を取り入れたことで、庶民の間でも広く親しまれるようになりました」(片山さん)。

 かるたはさまざまなメーカーから発売されていますが、全日本かるた協会公認の「競技用百人一首」は、京都大石天狗堂製です。

4ページ目で紹介する「競技かるた」用に札を並べたイメージ
4ページ目で紹介する「競技かるた」用に札を並べたイメージ

 かるた遊びは、ほとんどは読み札に書かれた歌を詠み上げ、下の句が書かれた取り札を取るというスタイルなので、歌を覚えていたほうが、勝負には有利です。

 しかし、意外にも、競技かるたでは、歌をすべて覚える必要はないのだそうです。

 「もちろん私たちは歌を百首覚えていますが、理屈としては、上の句と下の句の数文字が分かっていれば、競技かるたはできます。上の句が読み上げられたら、できるだけ早く札を取りたいので、上の句と下の句のはじめの言葉を組み合わせ、語呂合わせなどで歌を覚えていきます。このような覚え方で、歌をまるごと暗記はできませんが、お子さんが歌に親しむきっかけにはなると思います」(鶴谷さん)。

 なるほど。これで百人一首のハードルも少し低くなりますね。競技かるたでは、語呂合わせで歌を覚えるのは一般的なやり方です。その世界を少しのぞいてみましょう。家族でお正月に百人一首を使って遊べるルールも、あわせて紹介します。

競技かるたでまれに使われるという、色がついていない読み札。ちらっと見える衣装の色で誰の歌かが分かってしまうことがあるからだそう
競技かるたでまれに使われるという、色がついていない読み札。ちらっと見える衣装の色で誰の歌かが分かってしまうことがあるからだそう