「後伸びする子」を育てるには何が必要なのでしょう。また、そもそも、「後伸びする子」とはどういう子のことを指すのでしょうか。開成中学校・高等学校の元校長の柳沢幸雄さんは「乳児期からの家庭の習慣こそが『後伸びする子』の基礎をつくる」と話します。では、具体的に、どのような習慣なのか。前後編でお伝えします 。前編は乳児編です。

言葉はすべての学びの基本。乳児期から話しかけを

日経DUAL編集部(以下、――) 後伸びする子、頭がいい子というのはどのような子どもでしょうか。

柳沢幸雄さん(以下、柳沢) さまざまな考え方がありますよね。偏差値の高い大学に入る、自分で物事を考えることができるなど。ただ、私の数十年に及ぶ教育のキャリアの中で言えることがあります。それは、きちんと「言葉」を使える子は、将来どんな分野に進んでも、活躍していけるということ。基礎は乳児のころからつくられます。

 言葉が使えるというのは、例えば3歳ころまでの子どもなら、「自分の状態を言葉にできる」ことです。「ご飯をたくさん食べてお腹いっぱい」「お風呂で体がきれいになって、気持ちがいい」という自分の状態や気持ちを、自分自身で言葉にして伝えられるようになるといいですね。

 なぜ、言葉が重要なのでしょうか。理由は主に2つあります。1つは、言葉はすべての学びの基本だからです。算数をするにも、作文を書くにも、言葉が分からなければ理解ができません。また、言葉はコミュニケーションの主要なツールでもあります。相手が伝えようとしていることの意味を正しく認識できないと、学校でも社会でも苦労しますよね。

―― 小さい子どもの言葉の発達を、どのようにサポートすればいいのでしょうか。