「後伸びする子」を育てるには何が必要なのでしょう。また、そもそも、「後伸びする子」とはどういう子のことを指すのでしょうか。開成中学校・高等学校の元校長の柳沢幸雄さんは「乳児期からの家庭の習慣こそが『後伸びする子』の基礎をつくる」と話します。では、具体的に、どのような習慣なのか。前編では、親から乳児への「話しかけ」の大切さを紹介しました。後編の今回は幼児編です。

日経DUAL編集部(以下、――) 前編では幼児期から親が子どもへ話しかけることの大切を教えてもらいました。子どもが成長し、話すことができるようになってきたとき、親の話し方のポイントはありますか。

柳沢幸雄さん(以下、柳沢) 「子どもに話をさせること」が重要です。話すことは思考力、表現力といったこれから成長していく上で不可欠な能力の基礎だからです。

 「大げさな」と思うかもしれませんね。大人はすでに言葉を習得し、使うことに慣れてしまったので、話すことの高度さが分からないかもしれません。

 例えば、英語を習得するときのことを思い浮かべてみてください。もし、先生がずっと英語で話し続けているのを自分は聞いているばかりで、口から英語を発することがなければ、いつまでたっても英語を話せるようにはなりません。

 私は講演などで、親世代に対して、「英語を10年くらいは勉強してきていますよね。では、英語で1分間の自己紹介をしてください。準備時間として3分差し上げます」と言います。みなさん、かなり慌てます(笑)。それくらい、話すことは高度なことなんです。

 思考をめぐらして、自分が持っている語彙をいろいろと組み合わせ、表現につなげていく。3歳くらいになると、片言でしゃべることができるほどに語彙が増えるので、ようやく言葉として表現できるようになるのです。

―― どうしたら、子どもが自分から進んで話すようになりますか? コツを教えてください。