約6年間のサラリーマン生活から、妻と交代する形で主夫に転向した河内瞬さん。主夫になって改めて実感した家事・育児の過酷さを伝えたいと、SNSで発信し続けています。ミニ連載の2回目は、家事・育児への考えや、つらさを体験してからの関わり方を聞きました。

どっちも大変! 家事・育児を仕事にたとえてみたら
(1)家事・育児の大変さにはアドバイスよりねぎらいを
(2)やり方工夫し、家事は完璧でなくていいという境地に ←今回はココ
(3)思ったことはその場で言うほうが夫婦仲は良好になる

専業主婦の実母をモデルにした結果、つぶれかけた

 サラリーマン時代から家事・育児に積極的に関わっていた河内さんは、主夫として家事・育児をすることにあまり不安を感じていませんでした。ところが、いざ主夫生活が始まってみると、予想していたものとは全然違っていたといいます。

 まず、コントロールが不可能な子どもたち。例えば、スーパーに行こうと家を出ると、「公園に行きたい!」。スーパーに着いたら、「これ食べたい! 欲しい!」。そのたびに相手をしなくてはならず、一つひとつにとてつもなく時間がかかって、家事が全く進まないことに驚いたといいます。そして、それが毎日続くことにイライラがたまっていきました。

家事育児の大変さを文章とマンガでつづった著書『主婦をサラリーマンにたとえたら想像以上にヤバくなった件』(主婦の友社)より
家事育児の大変さを文章とマンガでつづった著書『主婦をサラリーマンにたとえたら想像以上にヤバくなった件』(主婦の友社)より

 「長女はすでに小学校1年生だったので、言えば分かることも多かったのですが、次女はまだ2歳。何をするか分からないので、目を離せませんでしたし、とにかく自己主張が強い性格で、相手をするのがひと苦労でした。子どもを見ながら家事をするのは、本当に大変で、つらかったですね。

 でも、今は、家事がつらいのは、『あれもやらなければ!これもやらなければ!』と、全部やろうとするからだと思うようになりました。主夫になった当初の自分は、『主夫とはこういうもの』という、あるべき姿にとらわれていたんだと思います

 河内さんが「あるべき主婦(主夫)の姿」のモデルとしたのは、実母でした。

 「実家は自営業で、母はその手伝いをしていましたが、基本は専業主婦でした。父親が家にいるので昼食を用意して、それが終わると午後2時ごろから夕食の準備を始めて、夕食には何品も並ぶような家庭です。それを見て育ったので、主婦というのはそういうものだと思っていました」

 そして家事・育児の全部を完璧にやろうとした河内さんは、どんどん気持ちが追いつめられていきました。

 「心がつぶれそうになりました。夜眠る時に、ふと今日やったことを思い出そうとすると、何も思い出せないんです。子どもの相手と家事……。それをしたのは確かだけど、具体的に何をしてたのか、覚えていなかった。もう、やらなければならないことに追われて、追われて……という感じで一日が過ぎていくんです。

 それで、『これはムリ! 人間のやることじゃない』と思って、『完璧』にやることをやめようと決意しました