フリーアナウンサーの久保純子さん。現在はアメリカに家族と住み、モンテッソーリ幼稚園の教師として、多忙な日々を送っています。この連載では、2人の娘を育てるママでもある久保さんの目を通したモンテッソーリ教育の魅力をお伝えしていきます。第1回は、モンテッソーリ教育との出合いや、モンテッソーリ教育を受けた次女との関わり方について聞きました。

海外の文化との幼い頃の出合いがきっかけで教育に関心

日経xwoman編集部(以下、──) 2014年にモンテッソーリ教師の国際免許を取得し、2022年2月からニューヨークのモンテッソーリ教育の幼稚園で教えているそうですね。以前から、絵本の読み聞かせや英語教育に携わったり、ユネスコの「世界寺子屋運動」の広報特使を務めたりするなど、教育に関わってきています。どのようなきっかけで教育に関心を持たれたのでしょうか。

久保純子さん(以下、久保) 教育に携わりたいという思いの原点は、私の小学校時代に遡ります。父の転勤でイギリスで暮らすことになり、いろいろな人種、言語の中で、様々な価値観や文化に出合って経験した刺激は、私の心に強く残っています。

 例えば、東京にいたときは、家の庭がまさに猫の額ほどの広さだったのですが、イギリスに行ってみたら、大きくて池もあって、ブルーベリーやブラックベリーやラズベリーの実がなっている。初めて見聞きするフルーツの名前で、それ1つとっても衝撃でした。友達とスプリンクラーで遊んだり、池のおたまじゃくしを観察したり、東京では経験したことがない世界がそこにあったことは、私の心をとても豊かにしてくれました。

 その後、中学生のときはフランスに短期で語学留学をして、まったく言葉が分からない環境に飛び込みました。そして、高校生でアメリカに留学しました。当時は携帯電話もありませんし、メールで家族とやりとりすることもできません。日本に国際電話をかけると3分で700円くらいした時代です。今のように気軽に誰かとつながれる状況ではない閉ざされた環境の中で、数々の異文化体験をすることになりました。ホームステイをしていたので、決して楽しいことばかりではなく、文化の違いに悩んで枕をぬらす夜もありました。それでも、英語という言語を通して出会った人々や経験がその後の私を形づくってくれたことを、帰国後に実感します。そこから、教育や言語というキーワードが私の中に根付いていきました。

 特に、小さい子どもが大好きで、ベビーシッターをしたり、一緒に遊んだりすることも多かったです。赤ちゃんから幼児へと成長していく過程の神秘に魅了されているのだと思います。今、モンテッソーリ幼稚園の先生になっているのも、自分の中では必然だった気がします。