2歳でも誰かに共感する気持ちがあるんだ

北川さゆ美さん(以下、敬称略) 私も同感です。人の気持ちが分かって、誰かの役に立つ社会貢献ができるような地頭の良さをわが子に身に付けてほしいと感じています。

 以前、テレビ番組で、ツバメの親が、巣にいるたくさんの子どもにエサをあげている映像が流れたのですが、それを見ていた2歳の娘が泣き出してしまったんです。

 「一匹ずつしかエサをあげられないなんて。一匹は満足しているけれど、まだ鳴いている子がいて、おなかを空かせていてかわいそう」って。そんな視点で見ていたことに驚いて、2歳でも誰かに共感する気持ちがあるのだと、子どもから教えられました。そういう共感できる気持ちを大切にして、社会の役に立つ子に育っていってほしいと思います。

共感する気持ちを大切にしたい、と北川さん。画像はイメージ
共感する気持ちを大切にしたい、と北川さん。画像はイメージ

―― 書籍の内容の中で、今後実践していきたいことはありますか?

丹後 生物学者の福岡伸一さんが子ども時代に、昆虫図鑑にあった虫の写真を見て、その美しさに感激したという、「人生で初めて経験した驚き、『センス・オブ・ワンダー』」のお話が印象的でした。すてきなものを子どもに見せていくことは、ぜひ実践していきたいですね。

 先日、満月の夜に家族で訪れたしまなみ海道の橋に、100円を入れてのぞくことができる双眼鏡があったんです。子どもが興味を持ったので、何気なく100円を入れて見てみたら、感動するくらいに月がきれいに見えました。こんなにすてきなものが身近にあったんだと、ハッとして。子どもの好奇心のおかげで気づくことができました。

 本も好きですが、実際にその場所に行って自分の目で見て、体験して、感動を味わうということも、意識していきたいです。

さかい 子どものおかげで見せてもらえる世界っていいなと感じます。私は、脳科学者の茂木健一郎さんが子どものころに人から褒められた思い出として、人生で忘れられない素晴らしい体験が2回あるという部分が印象的でした。

―― 幼稚園の先生や小学校の先生が、子ども時代の茂木さんの「できた瞬間」を見逃さずにほめてくれたというエピソードでしたね。

さかい はい。自分自身のことを振り返ってみても、褒められたことって、時間がたっても覚えていますよね。わが家でも、子どもたちがいいことをしたら見逃さずに、しっかり口に出して大げさなくらいたくさん褒めてあげたいと思います。