ズボンを3枚履いていく日もあるけれど…
さかい うちは、子どもが1歳と3歳のときに夫が単身赴任という大変な状況だったので、自分自身が精いっぱいすぎて……正直子どものイヤイヤに付き合えていなかったと思います。朝はパジャマのまま車に乗せて、車の中でおにぎりを食べさせながら保育園に連れていったこともありますね。
北川 外で子どもが寝そべってギャーって叫んでいる状況が、「まさか自分の子どもで起こるなんて!」と本当に驚きました。時が過ぎれば終わるものなのか、達観した気持ちで泣きじゃくるのを見守るしかないのかと……日々格闘しています。
丹後 うちも思い出します。シーンとした百貨店のなかで、フロア中に響き渡る声で子どもが泣き叫んだことがありまして。暴れまわるので抱っこすらできず、「何かあったんですか?」と言われてしまい、なすすべがない状況でした。
でもそのうち、「イヤだったら、何をしてもイヤなのだからしょうがない」と思えるようになり、ズボンを3枚履いていく日もあるけれど、誰もダメだと思っていないよね、むしろ楽しんでしまおう! と写真を撮ったりもしましたよ。
ゆっくり子どもに付き合ってあげられればいいですけど、仕事の時間が迫っていると急がなくてはいけないので、「本当はダメだけど、ゼリーやアイスをあげて泣きやむんだったら、別にいいじゃない。毎日のことじゃないからいいよね」と自分を許しながら、1日1日を乗り越えていったように思います。
北川 どうしても「母親はこうあるべきだ」という理想を自分で勝手につくってしまうんですよね。それでうまくいかないと、自己嫌悪に陥ったりして……。子育ては自分との闘いなんだなと、母親業をしながら勉強をさせてもらっている気がします。
―― 次回は「頭がいい」とはどういうこと? について考えます。
取材・文/西山美紀 イメージカット/PIXTA
『「頭がいい子」が育つ家庭の8つの習慣』
(日経DUAL編、1540円、日経BP刊)
自分から学ぶ意欲のある子を育てるために、親はどのように子と関わればよいのでしょうか。専門家・著名人たち9人への取材から見えてきたのは、子の主体性を尊重し、親が自分の方針や思いを押しつけない姿。「勉強しなさい」と叱ったり、低年齢から塾に通わせたりするのではなく、夢中になれる体験や遊びを通して、子ども自身の「やりたい」「学びたい」という気持ちを自然に引き出すというものでした。具体的なノウハウを「8つの習慣」として紹介します。
【主な内容】
プロローグ:「勉強しなさい!」よりも大切な親の関わり方
お茶の水女子大学名誉教授 内田伸子さん
・抽象的な思考の土台となるのは、遊びを通じた「実体験」
・幼稚園卒と保育園卒で学力に差は出るのか
習慣1:自由な遊びと体験で「想像力」を伸ばす
生物学者・青山学院大学教授 福岡伸一さん
・回り道にこそ豊かな学びがある
・中学受験も、頑張り体験の1つ
習慣2:子どもの「やりたい」気持ちを止めない
東大卒タレントで2児の母 髙田万由子さん
・子どもが見つけた「好きなこと」には口出ししない
・失敗から学ばせる ・積極的に外遊びをさせる
習慣3:正解を与えない
京大卒の高学歴芸人 ロザン・宇治原史規さん
・問題が解けたら「わあ! すごいね」
・宿題のやり方を、あえて子どもに教えてもらう
習慣4:子ども自身に考えさせ、決めさせる ~非認知能力を高める~
日本人初の「全米最優秀女子高生」の母 ボーク重子さん
・小学校3年生まで「教科書も宿題もなし」
・子どもの裁量に任せるために、家庭でルールを設ける
習慣5:親も一緒に成長する
マザーネット社長 上田理恵子さん
・「勉強ができなくて困る」ことに気づかせる
・勉強のやり方、時間の使い方は自分で考えさせる
習慣6:「熱中体験」で地頭のいい子を育てる
脳科学者 茂木健一郎さん
・何かに熱中する体験が地頭をよくする
・「自分ならできる」と思える子に育てるには
習慣7:教育はリビングの本棚から始める
YESインターナショナルスクール校長・サイエンス作家 竹内薫さん
・読書は「発信力」をつけるために大切
・本がある家庭で育つと読み書き・計算の能力に影響
習慣8:なんで?の繰り返しで理系思考を育てる
東京大学教授 「渋滞学」考案者 西成活裕さん
・大切なのは「没頭経験」と「負けず嫌い」
・「言葉つなぎゲーム」で論理力を鍛える
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