子どもと接する時間が短く悩み…「勇気づけられた」

丹後 上の子は11月生まれで、12月には翌年4月の保育園の入園を申し込みました。家業のためとはいえ、初めての子で、「こんなに早くに入れていいのかな……」とものすごく迷いました。今となっては、いい保育園に巡り合えて本当に感謝しています。書籍を読み、茂木さんに「あの時の決断はよかった」と言ってもらったように感じてうれしかったです。

 子どもが小さいうちから働いていると、平日は子どもと接する時間が短いですよね。朝起きてから「急いで、急いで」と言いっぱなし。子どもの保育園時代は、私の母がお迎えに行って、実家で夕飯を食べさせ、お風呂に入れてくれた後、仕事が終わった私が実家に子どもを迎えにいく、という生活でした。

共働き家庭は平日の夜もバタバタ。画像はイメージ
共働き家庭は平日の夜もバタバタ。画像はイメージ

丹後 「短い子どもとの時間を少しでも楽しもう。子どものいいところを見つけながら育てよう」と考えてやってきたつもりだったのですが、周りから「のびのび育っているね」などと言われると、「遠回しに、しつけがきちんとできていないと言われているのかな……」なんて、マイナスに受け取ってしまうことも。

 でも、そうやって時には落ち込むこともありながら、それでも、子どものいいところを見つけようと努力したことや、保育園を含めていろいろな人に子育てに関わってもらってきたことは、間違いではなかったのかなと勇気づけられました

さかい うちも1歳から保育園に預けて、私たち夫婦の転勤のため、何度も転園したりして「子どもに苦労かけているのかも……」と仕事をする自分を責めたこともありました。丹後さんのお気持ち、よく分かります。

北川 うちの子はまだ2歳ですが、書籍に登場するボーク重子さん(日本人初の全米最優秀女子高生を育てた母)のエピソードに、ものすごく共感しました。「自分は自己肯定感が低かったから、娘にはそうさせたくない」という部分です。

 私自身は、「出る杭(くい)は打たれる」という雰囲気の中で生きてきて、つい人の意見を気にしてしまうことがあります。でも子どもには、自由に、自分の気持ちの赴くままに、興味があることに向かって突き進んでほしい。失敗しても自分で乗り越えるような力を、ぜひ身に付けてほしいと思っています。そういった力は、学力とはちょっと違って、生きていく上で人間として必要な力ですよね。