お金よりも家族や人との縁、教育を大切に

―― 確かに、日本人の私にとって、親戚一同で集まることはちょっと照れくさいかもしれないです。どうして、パレスチナの人たちは、自然に受け入れているのだと思いますか?

岡根谷 パレスチナで出会った人たちにとって、家族は、「よりどころ」であるように感じました。パレスチナという地域の位置付けを巡っては、複数の立場があって、国連加盟国の中でも国家として承認している国、していない国があります。

 最初にお邪魔した家庭は難民キャンプの中にありました。そのキャンプは1949年にでき、そこにはすでに70年もの間、その土地で生活している人たちがいます。それもあって、テントやバラックが並ぶ荒野のイメージとは程遠い、パン屋やケバブ屋が立ち並んだちょっとした街のような光景が広がっていました。キャンプ内には学校もあり、キャンプ内の子どもたちは無償で教育が受けられます。

 ただ、イスラエルとパレスチナの人たちは、自由にお互いの土地を行き来することができません。パレスチナの電力の9割以上は、イスラエルの電力会社が担っているのですが、パレスチナ側からの電力使用料金が未払いという理由で電力供給を止めることもあり、日常的に停電が起こります。水も似たような状況で、難民キャンプには、3~4週間に一度しか水がこないこともあると言っていました。私が滞在した家庭では、料理の途中でオーブンが使えなくなったり、洗い物が山ほどたまっていたりということも経験しました。

 このように、生活環境などに不確定要素が多いからこそ、お金よりも家族や人との縁、教育といった「自分の身になり、失う心配のないもの」を大切にするのだと言っていました。実際、私が出会ったパレスチナの人たちは、決して裕福とはいえないのに、お金に頓着せず、目の前の人を喜ばせようとしていました。そうやって、自らの手で揺るぎない人生を築いていこうとする姿が、すごく力強く感じられました。