おもちゃをどう使わせるかで保育の質をうかがうことができる

ちょび先生 保育園選びはホームページや口コミだけで判断せず、必ず自分の足を運ぶことも大切です。その際、施設のきれいさや行事の華やかさに目がいくかもしれません。でも「人を育てるのは人」ということを意識してほしいと思います。例えば、保育士が子どもとどのように関わっているか、どんな声かけをしているか、一人ひとりが大事にされているかをしっかり見ると、この保育園でわが子がどんなふうに育っていくかイメージしやすいと思います。

―― 見るべきポイントとしては他にどんなことがありますか?

うめ先生 保育室のおもちゃの配置には、園の保育方針が表れていると思います。子どもが自分で好きなおもちゃを選べるか、自由に出し入れできるかどうかを確認してください。子どもたちが自分でおもちゃを選び、飽きたら違うおもちゃで遊べるというのは、子どもの意思が大切にされ、のびのび過ごせるということです。

ちょび先生 たまにですが、おもちゃは全部倉庫にしまってあり、必要なときに出してくるという園もありますね。

うめ先生 好きなようにおもちゃで遊べるようにしておくと、部屋が散らかりやすいからでしょうね。保護者は見学したときに、整然と片付いている部屋のほうがよいと思うかもしれませんが、子どもがのびのび育つのはどちらの環境かなと考えると、分かりやすいと思います。

 一方で、おもちゃが散らかっているとつまずいて転ぶ恐れがあります。保育士がどのように安全を確保したり、どんな声かけで片付けを促したりしているかも見てみるといいですよ。

園のチームワーク体制が安全の確保につながる

うめ先生 園全体でチームワークがとりやすい環境になっているかどうかも、保育園選びでの大切なポイントです。見学に行ったとき、廊下から保育室の様子が見えない園だったら、「園長先生は保育室の様子をどうやって把握されているのですか?」と聞いてみてください。というのも、保育園の管理職は常に各クラスの様子を把握する必要があるからです。

 ○組にヘルプが必要になったとき、管理職がパッと臨機応変に対応することが子どもの安全につながります。もし中で何が起きているか分からなかったら、現場の保育士だけで対応しなければならないでしょう。チームワークの良さは子どもの安全と保育士の働きやすさの両方につながってくるのです。

―― 「英会話やピアノ、サッカーなどを園で習えます」といった付加価値を付けている保育園もありますね。働く親としては魅力的です。

うめ先生 とてもよく分かります。でも「なになに教室」があることを優先順位の上に置くのではなく、まずは、園の方針や子どもが育つ環境をよく見てほしいと思います。

―― 保育園選びの指針として、最優先にすべきは「どのような子に育ってほしいか、どんな環境が大切だと思うか」を親が考え、それを保育方針とすり合わせることなのですね。本日はどうもありがとうございました。

取材・構成/小山まゆみ イメージ写真/PIXTA