中学受験の本番まであとわずか。社会では、グラフや資料を読み取る記述タイプを出題する中学も増えています。そうした問題に対する取り組み方を紹介します。

 こんにちは。プロ個別指導教室SS-1で社会を担当する馬屋原吉博です。

 社会で「複数の資料をもとに考えさせる記述」を出題してくる学校は、海城中学校や広尾学園中学校など一部の学校に限られていますが、今後、大学入試改革の影響を受けて増えていくことが予想されます。

 このタイプの記述問題で高得点を取るための秘訣は、
1. 『問われていること』と『条件』を正確に把握すること
2. 資料1つ1つについてコメントすること(適当にまとめないこと)
です。

 今回は、こうした秘訣をどう実践に落とし込むか、以下の問題を使って説明します。


 「最低賃金」に関する問題です。

 1時間の労働に対して「最低限、これだけの賃金を支払わなければならない」という基準なのですが、実はこの「最低賃金」、都道府県によって異なります。

 そして、この「都道府県ごとの最低賃金の差」が「地方の過疎化」を進める要因の一つになっているのではないか、という意見があるのです。

問:なぜ、そういった意見が成り立つのか、次の3つの資料を参考にして考えてみましょう。なお、答える際は「都道府県によって最低賃金が異なる理由」にも触れること。

 なお、「最低賃金」に関しては、成蹊中学校が2020年度の第2回入試で出題しており、本記事も一部参考にしました。該当の入試問題は「最低賃金を上げることが景気の向上につながる理由」にも触れており、過去問演習自体が深い学びを得られる機会となっています。