中学受験の本番まであとわずか。「これ、わかる?」と記事を通して親子でコミュニケーションを取りながら知識の確認もできる、中学受験にお役立ちの連載です。受験生は志望校の過去問に取り組み始めている時期でしょう。今回は国語の過去問に取り組む大事な3ステップについて解説します。

学校ごとに、受験生に求める解答の質は異なる

 こんにちは、伊東大輔と申します。プロ家庭教師集団「名門指導会」の一員として、中学受験をする家庭の国語指導に携わっています。今回はまさに今、多くの家庭にお伝えしている「国語過去問の取り組み方」についてお話しします。

 突然ですが、次の2つの設問を見てください。

A.「――線部③『あきるほど~ぼやけた』とありますが、それはなぜですか。波線部(a)『ふつう』と波線部(b)『ふつう』の内容を明らかにして、説明しなさい」(鷗友学園女子中2018年第2回)

B.「――(4)『もうあきるほど~ぼやけた』とありますが、これはどういうことですか」(洗足学園中2018年第1回)

 この2問は、同一年度の異なる中学校の入学試験で、同一の文章が取り上げられ同一の箇所が記述問題として出題された例です(出典は、児童文学界の期待の作家である河合二湖さんの『金魚たちの放課後』)。Aは「なぜですか」という発問であるのに対して、Bは「どういうことですか」という発問ですので完全に一致しているわけではありませんが、同じ文章の同じ箇所ですので読み取るべきポイントには違いはありません。

 この2つの設問の学校発表の解答は、以下のとおりです。

A.「自分にとっては『絶対的な味方』は家庭にいるもので、学校でそれを求めないことが(a)の『ふつう』だが、花音にとっては学校に『絶対的な味方』がいることが、(b)の『ふつう』であることに気づいて今までの自分の考え方がゆらいだから。」(鷗友学園女子中)

B.「蓮実とは違って、花音にとって学校は、絶対的な味方がいる場所であるということに思いいたったということ。」(洗足学園中)

 鷗友学園女子中も洗足学園中も、学校ホームページ上で入試問題を公開していますので、できれば実際に出題された文章を確認してもらいたいのですが、鷗友の方が文章を長めに切り取っていて、主人公(蓮実)の心境をより深くくみ取れるようにはなっています。しかし、設問の対象となっている文章箇所は両校とも同じですから、要求される読解のポイントも共通で、解答要素に違いはありません。

 ということは、それぞれの解答の文末にある「から」と「ということ」を入れ替えれば、鷗友学園の解答が洗足学園の設問の解答として、洗足学園の解答が鷗友学園の設問の解答として通用するのでは……と思いますよね。

 ところが、この二つの学校発表の解答を見比べると、かなりの相違点があることに気づきます。

 このように中学入試では、たとえ同じ文章と設問であったとしても、学校ごとに求められる解答の質が異なるというケースが少なくありません

 こうした点を考えても、直前期の仕上げ学習として、受験校の過去問に取り組むことは不可欠です。入試本番まで残り3カ月となった今、やるからには、本番での得点アップにつながる取り組みにしたいものです。

 そこで、ここからは、本番で得点力のつく過去問の学習実践法を考えてみようと思います。

次ページから読める内容

  • 「模試の偏差値=入試での得点力」ではない
  • 振り返りが大事 反省点だけでなくうまくいった点に目を向ける

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