「本を読んで学ぶ」という考え方は置いておく
もうすぐ4歳の息子は、車や電車が大好きです。他の友達は新幹線や車の名前を覚えて、遊びをどんどん発展させているのに、息子はいまだに「赤い車」「緑の電車」くらいしか見分けがつかないようで、遊びが発展していません。親が、図鑑などを指さしながら電車の名前を教えるなどして、遊びの世界を広げてあげたほうがいいのでしょうか?
【内田さんからのアドバイス】
周りのお子さんと比べると、焦ってしまいますね。でも、小さいうちから本や図鑑で知識を教えることは不要だと思います。子どもが覚えたいと思っていないのに、親から電車の名前を教えられても、うれしくはないはず。私がよく言う、「大人の親切、子どもの迷惑」ですね(笑)。
ただ、子どもが聞きたそうにしているのだったら、教えてあげてもよいと思いますよ。その際には、「はい、これはショベルカーよ」と教えるような口調はやめましょう。勉強の時間のようで、つまらなくなってしまいますから。「ざぶーんと、砂をかき上げていてすごいね」「これショベルカーっていうんだって。力持ちだね」といった具合に、一緒に楽しむ姿勢を心がけてみてください。
そもそも読み聞かせは、文字や知識を教えるためのものではありません。「本を読んで学ぶ」という考え方は一度捨てて、「親子で一緒に絵本の世界を楽しむ時間」と捉えてみてくださいね。
次回は、「上手な声がけ、叱り方」についてアドバイスをいただきます。
取材・文/西山美紀 イメージカット/PIXTA
環太平洋大学教授、お茶の水女子大学名誉教授
『「頭がいい子」が育つ家庭の8つの習慣』
(日経DUAL編、1540円、日経BP刊)
自分から学ぶ意欲のある子を育てるために、親はどのように子と関わればよいのでしょうか。専門家・著名人たち9人への取材から見えてきたのは、子の主体性を尊重し、親が自分の方針や思いを押しつけない姿。「勉強しなさい」と叱ったり、低年齢から塾に通わせたりするのではなく、夢中になれる体験や遊びを通して、子ども自身の「やりたい」「学びたい」という気持ちを自然に引き出すというものでした。具体的なノウハウを「8つの習慣」として紹介します。
【主な内容】
プロローグ:「勉強しなさい!」よりも大切な親の関わり方
お茶の水女子大学名誉教授 内田伸子さん
・抽象的な思考の土台となるのは、遊びを通じた「実体験」
・幼稚園卒と保育園卒で学力に差は出るのか
習慣1:自由な遊びと体験で「想像力」を伸ばす
生物学者・青山学院大学教授 福岡伸一さん
・回り道にこそ豊かな学びがある
・中学受験も、頑張り体験の1つ
習慣2:子どもの「やりたい」気持ちを止めない
東大卒タレントで2児の母 髙田万由子さん
・子どもが見つけた「好きなこと」には口出ししない
・失敗から学ばせる ・積極的に外遊びをさせる
習慣3:正解を与えない
京大卒の高学歴芸人 ロザン・宇治原史規さん
・問題が解けたら「わあ! すごいね」
・宿題のやり方を、あえて子どもに教えてもらう
習慣4:子ども自身に考えさせ、決めさせる ~非認知能力を高める~
日本人初の「全米最優秀女子高生」の母 ボーク重子さん
・小学校3年生まで「教科書も宿題もなし」
・子どもの裁量に任せるために、家庭でルールを設ける
習慣5:親も一緒に成長する
マザーネット社長 上田理恵子さん
・「勉強ができなくて困る」ことに気づかせる
・勉強のやり方、時間の使い方は自分で考えさせる
習慣6:「熱中体験」で地頭のいい子を育てる
脳科学者 茂木健一郎さん
・何かに熱中する体験が地頭をよくする
・「自分ならできる」と思える子に育てるには
習慣7:教育はリビングの本棚から始める
YESインターナショナルスクール校長・サイエンス作家 竹内薫さん
・読書は「発信力」をつけるために大切
・本がある家庭で育つと読み書き・計算の能力に影響
習慣8:なんで?の繰り返しで理系思考を育てる
東京大学教授 「渋滞学」考案者 西成活裕さん
・大切なのは「没頭経験」と「負けず嫌い」
・「言葉つなぎゲーム」で論理力を鍛える
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