数字や見た目に表れるものばかりが長所ではない

親からのお悩み【2】

 小4のわが子が通う学校では、低学年の子はピアノ、スイミング、体操、バレエまたはサッカー、英語などと、習い事に4~5つ通わせる家庭が珍しくありません。低学年で4泳法泳げたり、鉄棒や跳び箱が難なくできたり、合唱の伴奏をこなせたりする子もいます。

 詰め込みすぎはよくないと思っても、子どもが「みんなはできるのに、自分はできない」と思うのもかわいそうです。保育園のころは親が認めてあげることで自信を持てていましたが、小学生になると、学校で何ができるかどうかで自己肯定感が上下するように感じます。習い事はやはりたくさんさせてあげたほうがいいのか、悩みます。

【内田さんからのアドバイス】

 学校では、周りの友達と比べる機会が増えますね。ピアノが上手な子は発表会で伴奏をしたり、体育ではタイムを競ったりという、比べる文化の中で育つことになります。けれど、人の長所はスコアや見た目で測れる部分だけではありません。「自分はピアノができない」と落ち込んでいたら、「でも、○○ちゃんは、これが得意じゃない?」「お友達にとてもやさしくできるよね」などと、別のいいところを見つけて、自信をつけてあげるのも手です。

 そしてもし、本人が興味を持つ習い事があったら、可能な範囲で習わせてあげるのもいいですね。お子さんの表情をよく見て、合っているかを観察してみてください。ピアノなどのように「家で練習しましょう」という宿題が出る場合、「先生との約束は守れる?」と確認しましょう。しかしお子さんが練習したくないときもあるでしょう。そんなときに「先生と約束したでしょ!」と声を荒げて強制的にやらせるのは逆効果です。ピアノ嫌いにしてしまいます。

怒りながら強制的に練習させるのは逆効果。画像はイメージ
怒りながら強制的に練習させるのは逆効果。画像はイメージ

 詰め込みすぎかなと思ったら、「忙しくない?」「大変じゃない?」と聞いてみましょう。5歳後半から、自分自身を客観的に見るような意識が芽生え始めます。さらに9~10歳ころにはメタ認知が育ち、意志、判断力、モラル、情緒が育まれ、「どう生きたいか」といったことも考え始めます。ですから、小学校3~4年生くらいになったら、「学校の宿題も増えて大変だし、習い事、ちょっと絞ってみる?」という具合に、本人に相談するのもいいと思います。

 大人に接するように冷静に問いかければ、お子さん自身も「どうしようかな、これはやめようかな」「こっちは続けたいな」という意思を示すはずです。本人が考えたうえで「もう少し頑張りたい」と口にしたものは、意欲も上がっていますから、ぜひ続けさせてあげてほしいですね。