早期教育の効果には疑問

【内田さんからのアドバイス】

 「先取り」や「早期教育」は、気になるワードですよね。でも、私は必要ないと考えています。私が日本、韓国、中国、ベトナム、モンゴルの大都市で3~5歳の各3000人・合計1万5000人を対象に行った個人面接調査によれば、習い事をしている子のほうが、内面の発育や知性などを測る指標になる「語彙力」が高いことが分かりました。

 しかし、学習系の習い事をしている子と、ピアノやスイミングなどの芸術運動系の習い事をしている子との間には、語彙力に差は見られませんでした。つまり、語彙が豊かになったのは学習系の習い事をしているからではなく、習い事をしていること自体に要因があると考えられます。親とは違う大人や友達とコミュニケーションを取ったり、普段とは違う環境に身を置いたりする機会が増えるからで、習い事の内容はあまり関係ないということです。

学習系の習い事をしている子と、芸術運動系の習い事をしている子の語彙力に差は見られなかったと内田さん。画像はイメージ
学習系の習い事をしている子と、芸術運動系の習い事をしている子の語彙力に差は見られなかったと内田さん。画像はイメージ

 また、私たちの調査では、自由遊びの時間が多い幼稚園や保育園の子どもたちのほうが、小1の勉強を先取りしている(時間割で勉強をさせている)幼稚園や保育園の子どもたちより、語彙力は豊かという結果が出ました。乳幼児期に大人が子どもの主体性や自発性を大切にしたかどうかが、子どもの将来の学力の差に関わってきます。塾に通っていないからといって、焦る必要はありません。

 学習塾でもピアノやスイミングなどの習い事でも、絶対に必要とも必要でないとも思いませんが、お子さんが実際に体験してみて、楽しそうにしていれば、続けてみてもいいと思います。最初は楽しそうでも、「やっぱりイヤだ」というようなら、やめてもいいんです。「周りがやっているから、うちの子もやらなきゃ」ではなく、ぜひお子さんの様子をしっかり見てあげてください。お子さんが「また行きたい」と言うなら、しばらく様子をみてもよいでしょう。