自らのスキルを武器に働く「プロ人材」に、専門性を高めるための働き方や心構えを聞く本連載。2回目は2016年に人材会社カドル(東京・中央)を立ち上げ、小学6年生の息子のママでもある澤田清恵さんに、「人事のプロ」になるまでの歩みや、育児との両立の仕方などについて聞きました。

人事のプロ 澤田清恵さん(カドル代表取締役)

大学卒業後、システム会社に入社し人事部に配属→フリーランスになり、人事に携わる→ソフトバンク・コマース(現ソフトバンク)に入社し、人事制度の構築などに当たる→外資系企業に転職し、総務・人事部長に→2016年、カドルを起業

小さな成功体験の積み重ねが意識高めた

日経DUAL編集部(以下、――) 社会人生活の最初から、キャリア形成を意識していましたか?

澤田さん(以下、敬称略) それが全然。日立系列のシステム会社に就職したのですが、結婚するまでの「腰掛け」的なメンタリティーでした。ただ高校生のころからカウンセリングに興味があり、「人」に関わる仕事をしたいと人事を希望しました。すると配属先の人事部の上司が「何でもやってみなさい」と、いろんな仕事に挑戦させてくれたのです。採用関連のシステムを開発して特許を取ったこともありました。足元の仕事をこなす中で仕事の幅が広がり、面白さを感じるようになったのです

―― 人事のプロを志す、転機はあったのでしょうか?

澤田 自分に課せられたミッションを達成することで同僚の仕事が楽になり「ありがとう」と言ってもらえる。それが楽しくて、もっと仕事をしたいと思うようになりました。小さな成功体験の積み重ねが、結果としてプロ意識を高めたと思います

 ただ当時、他社の人事担当者などから「男女の人事評価が同じなら『一家の大黒柱』である男性にげたをはかせる」という話もよく聞きました。女性が正当に評価されない日本企業の現状を外から変えたい、という思いから入社5年で退職し、フリーランスになりました。結婚も重なり「うまくいかなかったら、夫に食べさせてもらおう」という考えもありましたが(笑)。

―― その後、ソフトバンク・コマースに入社しました。フリーランスから組織に戻ろうと思ったのはなぜですか?