プロフェッショナルと言えば弁護士や税理士、司法書士といった、高度な専門資格を持つ「士業」を連想する人も多いのではないでしょうか。これらの職業は実力で勝負できる一方、資格取得のハードルは高く、ひとたび独立すれば「一匹おおかみ」で組織の後ろ盾もありません。子どもを育てながら士業の資格を生かして独立して働くことは可能なのでしょうか。税理士事務所を経営するママに聞きました。前編は、資格取得の経緯や、税理士になるまでのキャリアについてです。

(前編) 出産半年後に税理士として独立 3回の転職で夢実現 ←今回はココ
(後編) 三刀流で働く税理士ママ 副業では「人の縁」強化

すし店経営の両親見て経営を志す 店を訪れる税理士に着目

 税理士の柏崎優子さん(42歳)は、埼玉県内で自分の事務所を経営する傍ら、夫とともに4歳の子どもを育てています。本業以外に企業2社の社外取締役、企業総務のコンサルタントと「3刀流」のキャリアを築いているプロ人材ママです。

 柏崎さんが「独立」という職業観を持つようになった原点は、すし店を経営する両親を見て育ったこと。

 「お客様を笑顔で迎える姿に、将来は自分も事業をしたいと思うようになりました」

 ただ、朝から夜遅くまで働き、資金繰りや顧客開拓など経営の難しさや苦労も目の当たりにしました。そんな中で柏崎さんが注目したのが、年に一度訪れる税理士の仕事でした。

 「父親のつけた帳簿をチェックする税理士を見て、専門資格があれば経営に近づけるのでは、と考えました。調べてみると、税理士は比較的独立しやすく、父のような個人事業を営む人の役に立てることも分かりました」

 学生時代に税理士の資格に向けた勉強を始めましたが、新卒で就職したのは、都内にある情報通信関連の大手企業。「税理士を目指す以上、税理士事務所に就職するのが王道かもしれませんが、大企業の仕事がどのように回るのかを見てみたい、という思いがありました。栃木県出身ということもあり、都会の最先端の職場で働きたかったことも否定しません」と明かします。その会社で経理の仕事をしながら資格取得を目指しました

【税務・会計のプロ人材 柏崎優子さんの経歴】
学生時代に税理士資格取得に向けた勉強を始める。在学中に3教科合格

布石1 2001年 情報通信関連メーカーに新卒で就職。経理職を担当。
 大企業の意思決定プロセスや稟議(りんぎ)の仕組みなどを知る。

布石2 2004年 外資系商社の会計部門に転職。会計部門に配属。
 前職よりも規模が小さい会社だったので、決算業務全般に関わることができた。

布石3 2008年 外資系の税理士事務所へ転職。
 「税理士」の道へ本腰を入れるための転職。外資系企業を中心に15~20社を担当。在所中に税理士資格を取得。

布石4 2012年 税務の経験を積むため別の税理士事務所へ転職。
 前職よりもハードで「下働き」からのスタートだと分かっていたが、独立への道だと覚悟して就職。在所中に結婚。2016年に退職。

2017年 出産。半年後に自分の税理士事務所を立ち上げる。
2018年 2社の社外取締役に就任。
2019年 プロ人材派遣のビズ・ディレクターズに登録。1社でバックオフィスのコンサルタントとして関与している。
税理士の柏崎優子さん。産後半年で自分の事務所を立ち上げ、現在は共働きで4歳の男の子を育てている
税理士の柏崎優子さん。産後半年で自分の事務所を立ち上げ、現在は共働きで4歳の男の子を育てている

次ページから読める内容

  • 資格取得に思わぬ苦労 10年越しで合格
  • ホワイト職場を捨て激務へ 悩みのあまり高熱で寝込む
  • 投資家に企業の魅力をアピール 税理士のやりがい

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