組織に属さず、独立した立場で働く「プロ人材」の道を選ぶ人がDUAL世代にも出てきています。一方で、大企業にも少しずつ、外部の「プロ人材」を活用する動きが広がっています。プロ人材の働き方を探る本連載の第3回では、酒類メーカーのアサヒビールなどを擁するアサヒグループホールディングス(以下アサヒ)が、商品のパッケージデザインを生成するAIシステムの開発に当たり、プロ人材を活用した事例を取材しました。同じ企業カルチャーの中で働く社員に外部の人材が加わることは、社員の意識にどのような「化学変化」をもたらしたのでしょうか。

プロの知恵を借り、専門外のAI技術に挑んだアサヒ

 テクノロジーの急速な進化や、コロナ禍による事業環境の激変にさらされる中、企業はこれまで以上に、新しい領域への挑戦が求められるようになっています。

 アサヒもAIを用いたイノベーションが今後のグループの変革には必須であるという認識から、2018年にアサヒグループホールディングス(現所属:アサヒクオリティーアンドイノベーションズ)の永富康司さんをリーダーとする開発チームに、「AIを活用してビジネスに役立つ斬新な技術を開発する」というミッションが課せられました。とはいえ、アサヒはビールやお茶などの酒類や飲料が主力商品で、AI開発は専門領域ではありません。チームのメンバーも「AIについては新聞で読んだ程度の知識しかありませんでした」と、永富さんは振り返ります。

AIシステム開発プロジェクトのリーダーを務めた永富康司さん(当時アサヒグループホールディングス マネジャー)。現在はアサヒクオリティーアンドイノベーションズ醸造科学研究所所長
AIシステム開発プロジェクトのリーダーを務めた永富康司さん(当時アサヒグループホールディングス マネジャー)。現在はアサヒクオリティーアンドイノベーションズ醸造科学研究所所長

 プロジェクトではまずメンバーが「実現したいことを素直に」(永富さん)、30個ほどのアイデアを提案。しかし、どれが実現できそうかさえ分からない状況だったそうです。そこで永富さんたちは、AIに詳しい外部のプロ人材に、チームメンバーとして入ってもらうことにしました

 さまざまなプロ人材の知見・経験を通じて経営課題の解決をサポートするサーキュレーションへ依頼し、数名の候補の中から選んだのが山田勝俊さん(38歳)です。山田さんはIT業界への就職を振り出しに、多国籍AIベンチャーでセールスディレクターを務めたあと、起業したという経験の持ち主。永富さんは、山田さんを選んだ理由を次のように説明します。

 「私たちは、意見を出すだけのコンサルタントではなく、プロジェクトチームのメンバーとして一緒に汗をかいてくれる人を求めていました。山田さんには仕事に共感し、仲間として働いてもらえる人間性があり、もちろんAIの知識や技術に関する専門性も高いことから選びました。『泥臭いことも含めて、自分にできることには積極的に取り組む』という山田さんの信条も、チームの考え方に合致していました」

 一方、山田さん自身は、「参加する以上、プロジェクトには責任があります。仲良しごっこにならないよう、言うべきことは言おうと思っていました」と当時を振り返ります。

次ページから読める内容

  • 協業先の目利きにスケジュール管理。外部人材が開発をスムーズに
  • 「専門外でも、プロと協働すれば成果出せる」という社員の自信に
  • 最初にお互いを見せ合うことで、コミュニケーションが円滑に

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