子育てだけでも大変なのに、仕事で後輩や部下を育成するなんてもっと大変では? そう思っている人もいるかもしれません。リモートワークなどの新しい働き方が広がり、管理職としての業務の在り方や人材育成の方法も変わりつつある中、DUAL世代の管理職たちはどのように考え、奮闘しているのでしょうか。この連載では、毎日バタバタ、悩みながら一歩一歩進むDUAL世代の管理職のリアルな姿を紹介しつつ、新しいマネジメントの在り方を探っていきます。

(上)3人子育ての管理職ママ 頑張りすぎて苦しい時期も ←今回はココ
(下)在宅勤務の管理職 チーム内の仕事の偏りどうなくす

弱みを見せる管理職であってもいい

 インターネット広告会社のサイバー・コミュニケーションズで、広報部門の管理職を務めている梶原理加さん。部下3人を束ねている。梶原さんが、管理職であるエグゼクティブスタッフになることを会社から打診されたのは2019年の12月。3人の子どもを育てており、保育園と学童へのお迎えのため、会社に在席できる時間は午前9時半から午後4時半までと短かったが、「迷うことなく引き受けた」と振り返る。

梶原理加さん(40歳)
サイバー・コミュニケーションズ  エグゼクティブスタッフ

2003年サイバー・コミュニケーションズ入社。広告営業を経てインターネットソリューション部門へ。2010年第1子出産、1年の産休育休を経てフルタイム復帰後、部長職に。2015年第2子出産。復帰後、管理職を離れて広報へ異動。2017年に第3子を出産し、翌年に広報として復帰。2020年、16時30分までの勤務をしながらエグゼクティブスタッフ(管理職)となる。新型コロナウイルスの感染拡大により、現在は在宅勤務を基本にし、必要に応じて不定期出社している。

 「自分にとっての挑戦ではあるけれど、プレッシャーとは感じなかった。というのも、弊社では、2014年に本部長や部長などの『役職』が撤廃され、『役割』に基づくフラットな組織へと再編が行われていたんです。ピラミッド型の組織の上司と部下の関係ではなく、役割としての管理職であって、私の役割はチームとして成果を出すための、メンバーの勤怠管理や目標設定などを担うことだと考えたら、気負う必要はないと思えました」

 とはいえ、「自分ならできる」という自信があったわけではないそうだ。

 「それも含めて、自然体でいればいいと思ったんです。できないという弱みを周りに見せてもいいんじゃないか、と。こんなふうに考えられるようになったのは、子育ての経験が大きかったような気がします」

 実は、梶原さんは第1子の育休明けの2011年、組織改革前の同社で副部長に抜てきされ、その後すぐに部長に昇進、約5年間フルタイム勤務で管理職を務めた経験がある。同社のママ管理職第1号だった。そのときの苦い経験が、今のマネジメントに生きているという。