時間が足りないモヤモヤは、長期目標を立てて解消

 迷いなく広報部門の管理職となった梶原さん。第2子の育休から復帰して以降、管理職になってからも16時30分に退社している。現在はコロナ禍の影響で、在宅勤務をベースとした働き方になっているものの、それまでの間は「時間が足りないモヤモヤをいつもすごく感じていた」と振り返る。

 「早くみんなと同じようにフルで働きたかった。でも、夫が朝早く仕事に行き、夜遅く帰宅する毎日だったため、朝の保育園送迎から、帰宅時の保育園と学童のピックアップ、夕食、寝かしつけをワンオペでこなす怒濤(どとう)の日々。16時30分に退社しなくては毎日を回せませんでした」

夫の帰宅が遅く、16時30分に退社しなくては毎日を回せなかったと話す梶原さん
夫の帰宅が遅く、16時30分に退社しなくては毎日を回せなかったと話す梶原さん

 「半期に1度の評価のとき、部署や自分の役割を超えて成果をあげられたかどうかが求められます。弊社では『GO BEYOND』という言い方をします。この観点だと、100求められたら120までやらないといい評価はもらいにくい。でも、子育て中で時間のない身では、100求められたら100までやるのが精いっぱいなんですね。とにかく時間が足りなくて、学び直しが必要なときにもそれが難しいし、新しい取り組みをしたときにアウトプットを出したくてもなかなか出せず、常に葛藤がありました」

 葛藤から完全に逃れることはできなかったけれど、モヤモヤは、視点を長期で持つことで解消してきたそうだ。

 「目の前のことだけでなく、長い目でトータルに見て、今はこういう状況にいるけれども、2年後ならこうできる、5年後はこうしよう、と先々の目標を立てました。仕事でも大きなアウトプットを狙わず、小さなものを積み重ねていこうと視点を変えました。今の感情にとらわれないようにすることで、少しずつ落ちついてきたのだと思います」

 下編では、コロナ下でリモートワーク中心になっている今の梶原さんの働き方と、コロナ下のマネジメントで大切にしているポイントについて聞いていきます。

取材・文/平林理恵 写真/小野さやか