子育てだけでも大変なのに、仕事で後輩や部下を育成するなんてもっと大変では? そう思っている人もいるかもしれません。リモートワークなどの新しい働き方が広がり、管理職としての業務の在り方や人材育成の方法も変わりつつある中、DUAL世代の管理職たちはどのように考え、奮闘しているのでしょうか。この連載では、毎日バタバタ、悩みながら一歩一歩進むDUAL世代の管理職のリアルな姿を紹介しつつ、新しいマネジメントの在り方を探っていきます。

今回はITベンチャーの取締役を務める岡田由佳さんのストーリーを前編・後編でお届けします。後編では育児によって変化した仕事観やテレワークで感じる課題について聞きました。

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出産前は時短勤務の先輩たちに共感できなかった

 「仕事の基本は人と人とのコミュニケーション」と話す岡田由佳さん。子育てを通して、その考え方がより深まったという。

 「今だから言えることですが、新卒で総合商社に勤めていた頃は、育休から復帰して時短勤務していた先輩たちや、彼女らに配慮する周囲の人たちに、共感できませんでした。でもいざ自分が出産して仕事復帰してみると、いかに当時の自分が子育ての現実を理解できていなかったかと思い知らされました。1日6時間の勤務でも、子どもを抱えての仕事はかなり体がきつかったんです」

 「20代前半の頃は自分にも他人にも厳しかった」と岡田さんは振り返る。当時は役職についていなかったこともあり、「上司はなぜこれをやってくれないんだろう」「同僚がもっと頑張ってくれたら」「自分もこんなことができていないのはまずい」という発想で仕事をすることも多かった。

 しかし、子どもを産んでからは、予測のつかないアクシデントの連続。「できないことやミスは誰にでもある」とおおらかに構えることができるようになったという。

 「子どもって、期待と180度違うことをやってくれたりしますよね(笑)。子どもは何回教えてもできないこともしばしばですが、その点仕事のメンバーは大人で、話せば分かる。相手に注意をすることはあっても、『許し合ってカバーする』気持ちで接するよう心掛けています。子育てを通して、人に対する過度な期待を手放すことを、徐々に覚えてきたような気がします」