子育てだけでも大変なのに、仕事で後輩や部下を育成するなんてもっと大変では? そう思っている人もいるかもしれません。リモートワークなどの新しい働き方が広がり、管理職としての業務の在り方や人材育成の方法も変わりつつある中、DUAL世代の管理職たちはどのように考え、奮闘しているのでしょうか。この連載では、毎日バタバタ、悩みながら一歩一歩進むDUAL世代の管理職のリアルな姿を紹介しつつ、新しいマネジメントの在り方を探っていきます。

前編に続き、鉄道会社の新規事業部門で課長を務める大原恭子さんのストーリーを紹介します。後編では、管理職として心を身軽に保つ方法や、大原さんが考える「女性が活躍するために社会に必要なこと」などについて聞きました。

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「小1の壁」で不安に。悩みは抱え込まず上司や友人に相談

 東京地下鉄の新規事業部門で働く大原恭子さんは、コロナ下の2020年4月に部署異動と課長昇進を同時に経験した。現在は週2程度出社、週3程度テレワークというスケジュールで、Microsoft Teamsを使って部下たちとコミュニケーションをとっている。だが、役職が上がったことで自身が抱える業務量が増えてしまい、出社日は残業することも多くなった。子どもは6歳と2歳。今春には第1子の入学も控え、「小1の壁」に不安を感じることも少なくないという。

 「上の子が通う予定の学童は18時以降はお迎えが必要。下の子の保育園からは距離があるため、残業してしまうと間に合わない可能性があります。もっと仕事から手を離すべきなのですが、新規事業部門は一つ一つの案件が新しいため、時間がかかってしまう。子どもの入学まであと半年となった20年の10~11月ごろが一番モヤモヤしていた時期でした

 頭の中が不安でいっぱいになった大原さんは、直属の上司に「来年は課長の仕事ができないかもしれない」と素直に打ち明けた。大原さんの悩みを受け、上司はチームの体制などを真剣に考えてくれたという。また、同じようなポジションに就いている社外の友人にも電話をかけ、仕事の進め方などを相談したこともあったそうだ。悩みや弱みを人に見せることに抵抗はなかったのか。

 「それは、全くないんです。相談することで思ってもいないようなヒントがもらえることもあります。そもそも困っているのか、何に困っているかなんて、人は見ただけではわからないので、『察してくれ』ではなく『言語化して発信』することが大事だと思っています」

 仕事の責任が重い分、気持ちだけはいつも身軽に。「責任のある立場だから」と自分で抱え込むだけでなく、積極的に発信していくことで解決の糸口が見えてくることもあるようだ。