短時間でも成果を出せば報われる制度に

 「時短勤務制度は以前からありましたが、当時はフルタイムから時短になると給与が半減し、場合によっては一般職と給与が逆転するケースも。このため、出産前まで営業職としてバリバリ働いてきた人が、育休明けに時短で復帰すると事務職などの補助的な仕事に就く、というケースが多く、退職を選ぶ人も少なくありませんでした。優秀な社員が、出産でキャリアを諦め、モチベーションを失っていく。悔しかったですし、この問題をなんとかしないと女性の活躍なんて実現できないと思いました」(田中さん)

 出産して時短勤務を選んだ社員でも、やりがいのある仕事を任され、努力が報われる環境をつくりたい。でも、今の制度の中では無理だ。そう考えた田中さんは、意を決してある行動に出る。会長に直接メールを出したのだ

 「問題点を伝え、『改善策を提案する余地はありますか?』と質問したら、『田中さんが直接、経営陣に提案してみないか?』と返事が来たのです。やっていいんだ、と勇気が出ました」

人事制度の導入について振り返る田中麻衣さん

 田中さんは、競合他社の制度などにも目配りしつつ、新たな時短制度の素案を練り上げる。それは、みなし残業代を時短の給与に上乗せするという画期的な制度だった。

 「『WOMenLABO』の責任者を務めていた女性役員に提案しました。ちょうど時期を同じくして、人事部門がこのテーマを検討していたため、その後の具体的な制度設計などは、人事主導で進めてもらいました」(田中さん)

 こうして2013年、新しい時短制度が誕生した。田中さん自身も2014年から第1子の育休・産休を取得、2015年にこの制度を利用して職場復帰した。その後は時短勤務で管理職として勤務を続ける傍ら、第2子を出産。育休を経て、今年4月、再び時短管理職として復帰している。