1人で仕事をするよりチームで進めたほうがいい

 「仕事と子育ての両立でパンクしかけたあのとき、私が1人で抱えられる仕事の分量はここまでだ、と自分の限界を感じました。その一方で、自分の強みを考えたとき、私は1人で抱え込むよりも、仕事をメンバーの持ち味に合わせて割り振って、全体として成果を上げていくほうが向いているのではないかと思いました。裁量権のあるマネージャーとして、組織で働くほうが自分のパフォーマンスを発揮できるし、組織にも貢献できるのではないか、と。だから喜んでお受けしました」

 管理職になったほうが業務量が増え、仕事も大変になると思いがちだが、田中さんの場合は違ったという。「部下として1人でプロジェクトを抱えていると、自己完結しないとならないんです。プロジェクトには繁閑はつきものですよね、これを1人で担うとなると調整ができず、忙しいときはものすごく忙しくなる。複数のメンバーで仕事を割り振る形であれば、繁忙期には業務を分け合うこともできるし、メンバーそれぞれの強みに合わせて仕事を割り当てることも可能です。

2台のスマホは両立の必須アイテム。左が仕事用、右がプライベート用
2台のスマホは両立の必須アイテム。左が仕事用、右がプライベート用

 また、チーム内で何かあったときにお互いヘルプし合う関係ができていれば、子育て中の社員だけでなく、それ以外の社員も、体調不良や介護など、いろいろな場面でカバーし合えて、業務に支障を来すことなくパフォーマンスを発揮できる。裁量権があればそんなチームづくりもできるわけで、自分にはそのほうが向いていると思いました」

 その後、第2子を妊娠。2018年にマネージャー職のまま第2子の育休を取得し、2019年4月に、産休前とは別の部署のマネージャーとして職場復帰した。

 「年齢的にも2人目を希望していたため、いつまた休むことになるか分からない。そのことを見越して、メンバーを自立させるような働きかけをずっと意識していました。それもあって引き継ぐ業務も多くなくスムーズに休めたし、復帰もできたと思います」