不妊治療のため、管理職から降りた経験も

 「入社した当時のエン・ジャパンは創業2年、社員数60人に満たない会社だったこともあり、すぐにチームリーダー(係長職)に昇格。07年には、10人の部下を束ねるマネージャーになりました。08年に、同期入社の夫と結婚しましたが、直後にリーマン・ショックが到来。その影響による組織再編を受けて、一度マネージャーを降りました」

 2010年に再び昇格。しかし2014年4月に再びマネージャーを降りることになる。「実はその数年前から妊活をしていたのですがなかなか授からず、不妊治療をしていたんです。2014年はちょうど35歳を迎えた年。治療のステップアップを検討する中で、管理職との両立は難しいと感じました。それで当時の事業部長に、一度降りて不妊治療に専念したいと伝えたんです。これが受け入れてもらえました」

 不妊治療は仕事のやり方を見直すきっかけにもなったという。「業務に追われていた生活を一変させるため、月初に、その月にやるべきタスクと、所要時間の見積もりを書き出しました。定期的な業務に加え、突発的に発生しそうな業務のための時間も確保。すると、『この業務にはこの時間しかかけられない』と分かり、集中力が高まった上、ムダも見えてきたんです。それを月末に振り返ることで、さらに生産性が高まりました。この作業の繰り返しで、段取り力がだいぶ高まったと思います

 幸いにも不妊治療はうまくいき、2014年8月から、産前休暇を取得。11月に1人目を出産し、1年後の2015年の11月、子どもが1歳になったタイミングで職場に復帰した。

 子どもを抱えながら時短で管理職になったのは、復帰から2年後の2017年。3度目のマネージャー昇進だった。当時も9~17時の時短勤務を選択しており、子どもはまだ手のかかる2歳だったが、「昇進については悩まなかった」と振り返る。

 「むしろ、マネージャーのお話をいただいたとき、すごくありがたいなと思いました。というのも、それまではプロジェクトを1人で進めていて、それはそれで楽しかったんですが、だんだんプロジェクトが増えていき、一度パンクしかけたんです。時間管理を徹底するよう努めていましたが、やはり出産前のようにはいかなかった。夫も繁忙期で、あいにく土日は毎週出張で不在が続いていました。そんなときに私の仕事のピークが重なって、ああ、このままだとパンクする、という事態になってしまったんです