出産・育休を経て時短勤務で働きながら、管理職のポジションに就く女性たちが増えています。短時間で成果を上げるコツ、部下とのコミュニケーション、家庭との両立は? 新型コロナウイルス感染症による在宅勤務と、管理職の業務をどう両立していた? 社員をバックアップする企業の取り組みも含めてリポートします。

今回の「時短管理職」
早川美沙子さん(32歳)
中高留学事業部 入学支援課 課長

大学卒業後、成田空港の空港職員を経て2011年South Pacific Free Birdに入社。以後、現在まで中高留学事業部で、フィジーに留学する中高生やその保護者への留学支援業務を担当。2013年に課長に就任。2015年に結婚、2017年10月より産休に入り、同12月に出産。2019年5月に中高留学事業部課長として復帰。

管理職を断るという選択肢はなかった

 フィジーへの語学留学の支援事業を行っているSouth Pacific Free Birdで、時短勤務を選びながら課長を務める早川美沙子さん。中途採用で2011年に入社し、中高留学事業部の立ち上げに参画。以後一貫して同事業部で中高生の留学支援に携わって来た。2013年に課長に就任し、その後結婚、そして出産。1年半の産休を経て19年5月に、時短勤務の課長として職場復帰した。

 「自分の可能性を広げたかったので、出産後、管理職として仕事を続けることに迷いはありませんでした。また、大企業でしたら『誰かもっと適任の方に……』と断ることもできるかもしれませんが、当社はベンチャー企業で、人材が限られているという事情もありました。だから最初から『やる』ことは前提で、産休前から『どうやったらうまくやっていけるか』を考えていましたね。社内には、すでに時短管理職として活躍している先輩がいましたし、夫のサポート態勢も整えたので、不安は感じませんでした」

 実際に復帰を果たした後、仕事を産休前のペースに戻すことはさほど難しくなかったそうだ。「でも、仕事でエネルギーを使い果たしてしまうことが多くて、家に帰ってからの家事・育児がすごく大変でした。家事・育児は効率よくやらないと時間が足りなくなりますね」

 産休前に、掃除機は掃除ロボットに、洗濯機は洗濯乾燥機に買い替えた。食事は毎日届く宅配のミールキットを利用。そうやって捻出した時間を子どもや夫とのコミュニケーションの時間に振り向けているという。

 会社の所定労働時間は、10時から19時まで。だが子育て中の社員については保育園の送り迎えの時間を考慮して、1時間前倒して9時から18時の勤務が認められている。早川さんはさらに1時間半の時短を選んでいるため、基本的に16時半までの勤務だ。

 現在は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、週の半分が在宅勤務。業務の性質上、会社は土日も営業しているので、早川さんもシフトに入り、平日のうち1日を休む代わりに、日曜は仕事をする。その日は夫が子どもの面倒を見る

早川さんのある1日のスケジュール(出勤の日)
5:30 起床 身支度 朝食づくり 登園準備
6:30 子どもを起こす 着替え、朝食
7:10 自宅を出る
7:30 保育園到着
9:00 仕事開始
10:00 朝礼
16:50 会社を出る
17:50 保育園到着
18:30 帰宅
19:00 夕食
20:00 入浴
21:00 子ども就寝、食事の片づけ、洗濯機を回しながら夫と会話
23:00 就寝

 早川さんの仕事の中心は、高校留学のカウンセリングと留学の手続き業務。顧客からのアポを受けてカウンセリングを行うため、現在はオンライン説明会が中心とはいえ、時間的な制約の多い仕事だ。これに課長としてのメンバーの指導育成やマネジメント、売上管理などの業務も加わってくる。

 16時半までの時短勤務でどうやって業務を回しているのだろうか。