「マンガじゃなくて本を読みなさい!」「ゲームばかりしてたらダメ!」などと小言を口にしてしまっていたら、ちょっと待って。マンガやゲームは今や「勉強の敵」ではありません。子どもの「好き」に火がつき、時に学びを深めるための効果的なサポートツールになることも。これまで多くの小学生、中学生を合格へと導いてきた受験指導専門家の西村創さんが、小中学生にぜひ読んでほしいマンガ、遊んでほしいゲームを紹介します。マンガ&ゲームの魅力とともに、「学びとは何か」についても切り込んでいきます。連載第2回で紹介するのは「マインクラフト(Minecraft)」です。

【未知の世界への入り口に!学び深まる マンガ&ゲーム】
ここまでのラインアップ

「探究のお手本がここに」 理科マンガ『ザッケン!』

思考力、空間把握能力育む「デジタル版ブロック遊び」

 「マインクラフト」通称「マイクラ」は、2012年くらいから流行し始め、今や世界で最も売れているゲームの1つです。でも、名前は聞いたことがあっても、どんなゲームかはよく知らないという人もいるのではないでしょうか。

 マイクラをひと言で表すと、デジタル版ブロック遊びです。

 リアルのブロック遊びは、使えるブロックの数や種類、作る場所など限界があります。でも、デジタルのマイクラでは、使えるブロックの数もスペースもほぼ無限です。

 そのブロックを組み合わせて新たな土地や家、お城、海底神殿など、思いついたものを自由に形にすることができ、さらに、その上で動物を飼育したり、作物を栽培したり、探検したり、戦ったりと、アクションゲームなどとして遊ぶこともできます。中には現実世界としか思えないリアルな街並みを再現した画像を公開して、SNSで話題になっている人もいます。

 さらに慣れてくると、画面上で、レッドストーンと呼ばれる素材を使って、電子回路のような仕組みを作ったり、スイッチやセンサーなどの信号で動作する装置を構築したりすることもできます。

 このようなデジタル世界でのブロック遊びは、リアルのブロック遊びと同様、創造性や集中力、思考力はもちろん、空間把握能力も養うことができます。これらの能力は受験でも必須の力。特に空間把握能力は多くの小中学生が苦戦する、算数・数学の空間図形の単元理解に直結します。

 ただし、マイクラの魅力はこれだけにとどまりません。ゲームを通じて、物理や数学の知識から、プログラミング的思考力をはじめとするいわゆるSTEM(ステム)人材に必要とされる能力、そして語彙力……と、想像以上に多くの力を養うことができる「スーパーゲーム」なのです。

小学4年生の女児がマイクラで作った「snow house」(左)と「キツネをペットとして飼う家」(右)
小学4年生の女児がマイクラで作った「snow house」(左)と「キツネをペットとして飼う家」(右)
小学4年生の女児がマイクラで作った「snow house」(左)と「キツネをペットとして飼う家」(右)