『だるまちゃんとてんぐちゃん』(福音館書店)、『からすのパンやさん』(偕成社)などの絵本の著者として知られるかこさとしさん。2018年5月2日に92歳で逝去された、かこさとしさんの遺志を継ぎ、講演や展覧会、未発表作品の出版などに携わっている長女の鈴木万里さんから見た、かこさんの姿、伝えたかったことを語ってもらう連載です。
前回に続き、かこさんのデビューのきっかけとなった活動の中で心がけていたことをお伝えします。

不思議な縁で、絵本作家の道へ導かれていく

 前回お伝えしたように、父・かこさとしが子どもたちと関わるようになる大きなきっかけとなった活動の一つが東京大学在学中に参加した「演劇研究会」。かこは演劇研究会では舞台美術をメインにしていましたが、卒業間近の1947年2月に、童話劇『夜の小人』で、初めて脚本、演出、踊りの振り付け、舞台美術の一切を取り仕切りました。

 近隣の子どもたちを招待し上演したのですが、この劇は合唱付きで、曲を付けてくれたのが、大中恩(おおなか・めぐみ)先生でした(2018年12月に他界。大中先生のお父様は島崎藤村の「椰子の実」に曲を付けた大中寅二先生です)。大中恩先生は「島よ」をはじめとする数多くの合唱作品や、「サッちゃん」「いぬのおまわりさん」といった童謡を作曲した方。当時は、かこが住んでいた板橋区の高校で、音楽を教えていました。その学校の演劇部の舞台装置や衣装デザインのことで、かこがお手伝いをする機会があり、今度はかこが大中先生に、『夜の小人』の劇中歌に曲を付けてもらえないかとお願いしたといいます。大中先生は作曲のみならず、合唱をするメンバーを連れてきて、前日には近くのお寺でリハーサルをし、当日の合唱パートを請け負ってくれたそうです。

 その60数年後、大中先生とかこはテレビの番組がきっかけで再会し、2014年1月に出版した『パピプペポーおんがくかい』───いろいろな動物たちが歌や踊りを披露しながら音楽会をするという絵本ですが、この本の最後にでてくる詞に曲を付けてもらいました。これが大中先生とかこの最後の合作ですが、なんとも不思議なご縁です。

次ページから読める内容

  • 遊びを通し積極性、自主性に結び付けたいという思い
  • 紙芝居を通して子どもたちに必要な知識を与えた

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