こんにちは。食育フードジャーナリストの越川里枝です。この連載では、1歳と5歳の保育園児を育てる私がイタリアの食文化で見つけた、子育て世代に役立ついろいろなノウハウをお伝えしていきます。今回は、お出掛けバッグにしのばせたいイタリア流のおやつです。最終ページでは、ボウル1つで作れるイタリアのマンマ流ケーキの作り方を動画つきで紹介! どうぞご活用ください。

 親子でお出掛けが気持ちの良い季節になってきました。少し遠出もチャレンジしてみたくなる時期。いざ親子で出掛ける計画を立てるも、公共機関を使う場合は途中で子どもがグズったらどうしようとドキドキしてしまうのがわが家。

 恐らく皆さんもお出掛けの際は知恵を絞り、バッグに必殺技となるようなお菓子やおもちゃをしのばせ、緊急事態に備えているのではないでしょうか。そんなお出掛けに、便利で体にも良く、子どもが喜ぶおやつがあったら最高ですよね。今回は私自身、何度も助けられた、イタリアの便利なおやつをご紹介します。大人もおいしく食べられて一石二鳥、そんな万能のおやつです!

胃腸の弱い王子のために作られたという北イタリア発祥のグリッシーニ

これは夫の手作りグリッシーニ
これは夫の手作りグリッシーニ

 「グリッシーニ」は大人にとってはスパークリングワインやビールに最高のお供。イタリアでもアペリティーボと呼ばれる夕食前の軽い食事の定番として楽しみますが、実は子どものおやつに最適なのです。

 その昔17世紀にイタリアを統一したサボイア家の王子のために作られたのが発祥という説もあるグリッシーニ。それによると、幼少の頃から胃が弱くて悩んでいた王子の主治医が、王家付きのパン職人に、カリカリになるまでよく焼いた、消化にいいパンを作るように命じたのが始まり。このパンのおかげで王子は健康を取り戻し、後にシチリアやサルデーニャをも治めた王になったといいます。そんな知恵が詰まった消化に良い子どものためのパン。イーストもごく少量なのでおなかにたまりすぎず、おやつにピッタリです。

 時々私たちのレストランで開催しているキッズデーで、一番子どもに喜ばれるのもグリッシーニです。食事が提供されるまでに間が持たない1~3歳のお子さんにはいち早くグリッシーニをお出しします。そうすると不思議なことにグリッシーニに夢中でグズッたり騒いだりしないんですよね。結果、ご両親にもとても感謝されます。

1歳ごろから間食や小腹がすいたときにグリッシーニを食べている長男
1歳ごろから間食や小腹がすいたときにグリッシーニを食べている長男

 わが家の5歳の長男は恐らく日本男児の中でもっともグリッシーニを食べた幼児かもしれないと言っていいほど、1歳ごろから驚くほど食べ続けてきました。次男も離乳食の後期あたりからなめながら食べ、今では長男同様にグリッシーニがお気に入りです。乳児の完了食、幼児期のおやつ、大人は生ハムを巻き付けてビールやプロセッコのお供にと大活躍。最近は小袋に分かれて入っているものが店頭やネットで、購入できるのでストックしておくととても便利です。