こんにちは。食育フードジャーナリストの越川里枝です。この連載では、1歳と6歳の男の子を育てる私が、イタリアンレストランの経営に携わる中で見つけた、イタリアの食文化と子育て世代に役立ついろいろなノウハウをお伝えしています。

 皆さんは、コロナ自粛の間、どのよう過ごしていたでしょうか。わが家の場合は、新小1の長男の学校が休校になり、次男の保育園の登園自粛要請が出ました。3食の食事作りが大変という声は各家庭から聞かれ、私たちのレストランでもテイクアウトで家庭の食卓を少しでもサポートしようと努めました。そんな中活躍したレシピがシェフのラザニアです。テイクアウトで大人気で、連載第1回でも紹介したように簡単に作れるので、自宅でも活躍しました。

長男は料理修業に挑戦。親は教える難しさを痛感

 私は子どもたちと共に家とレストランを行き来をする毎日。この機会に、グリッシーニやジェノヴェーゼといった長男の大好物を、シェフであるパパから直接教えてもらうことにしました。作る過程を知ることで、食に感謝し、料理人である父親に改めて尊敬の念を抱いてもらえたらと思ったのです。

 グリッシーニを作らせたときには、子どもの感性に驚かされました。長男はカリカリの食感がとても好きなので、細くしてカリカリにしようと思ったようです。結果、両端は少しふっくら膨らんでサクサクで真ん中は細くてカリカリと、二つの食感を楽しめる本場トリノのグリッシーニができあがったのです。こんなふうに子どもの自発的な発想に感心する場面もあり、初心に戻って料理に向き合うことの大切さを改めて感じました。

 それと同時に、私もシェフも教えることの難しさを痛感しました。子どもは、最初は目新しさもあって興味津々で取り組みます。しかしモチベーションを保つのは大変で、同じ料理を繰り返し作って習得させるのは難しかったです。一つの料理を習得させるには長い道のりが必要であると認識し、子どもにそこまで本気で臨んでもらうには、親も本気で向き合わなくては、と感じています。

 さて、連載最終回となる今回はこれまでと少し視点を変え、日本に住んでいるイタリア人のワーキングマザー、エリカさんのインタビューをお送りします。忙しい毎日の中、家庭でどんな料理をしているのか聞いてみました。(※インタビューは1月に実施)