「1分1秒でも長く寝かせて」という状態が約200日続いている

 たとえママが笑う時間が増えたとしても、半年間のストレスや寝不足などはしっかり累積されている。そのことに対する配慮を欠いた発言をしようものなら、キラウエア火山も真っ青な大噴火が待っている。わが家を例に挙げれば、夫はめっぽう寝不足に弱い人種なので、この7カ月間は、夜は私が引き受け(母乳だし)、ぐっすり眠ってもらっている。つらくて何度も起こそうと思う瞬間はあったけれど、日中、上の子の世話を頑張ってもらいたいので、耐えて対処してきた。そこに不満はないのだけれど、「1分1秒でも長く寝かせて……」という状態が、かれこれ200日続いている。

 少し前の話だけれど、深夜から明け方にかけて次女が数回起き、寝不足極まって、朝、私はしかばね状態だった日があった。その日は休日で、7時頃に娘二人を夫がリビングに連れて行ったので、ようやくそこから寝ることができたが、10時頃にやってきた夫が放った「もう10時だけど」という一言に、私は激怒した。「今 “もう”って言った……?」「“もう”って何? “もう”って。半年寝不足の人間に向かって寝すぎだよとでも言いたいの?」と、あまりに腹が立って枕を壁に投げつけた。

 後から分かったことは、夫は、家族でどこかに行くなら行き先と出る時間を決めたい、そうでなければ出る時間が遅くなるという意味で「もう10時」といったのだそうだ。そこにかけらも悪気はない。夫は普段から私に対して、感謝も十分してくれている。だがしかーーーーーーーーーーし。そんな心情を読む余裕など1ミクロンもなかったその日の私の地雷を、夫はうっかり踏んでしまったのである。

 たかだか「もう」の一言でこのありさま。なんて身の毛のよだつ話でしょう(でも乳児を育てている時は、「眠れている人は黙ってろ」なのであります)。

 また、寝不足が200日も続くと脳の生産性はめっきり低下し、物忘れが増えたり時計の針が出発時間を指していても家を出るという連想ができず、ぼーっと針を眺めてしまうこともある。こういうとき、相手を普通の状態とみてあきれたり、あまつさえ責めたりするのは絶対やってはいけない。パパが正常な判断や行動ができるのは眠れているからなのであって、妻に「寝かせてもらっている」おかげだ、という事実を心臓に刻印してほしい。個人的には、パパには、妊婦ジャケットを着て妊婦経験をするよりも、睡眠中に数時間ごとにたたき起こされる寝不足経験を1カ月やってほしいと願う。そうすればどれだけ生産性が下がるか分かっていただけるであろう。