予定を入れる前になぜ一言ない?

 ただ、うちの夫は飲み会の頻度が少ないことと、イクメン・オブ・ザ・イヤーがあったら間違いなく金賞クラスのイクメンなので、外で子育てや妻の愚痴は大いに吐いてほしいと思っている(絶対あるはず)。なので、パパ友との飲み会なんて、むしろあっせんする勢い。

 じゃあ何が不満なのかというと、「事前相談なしに決めること」 である。「2人育児」とは、文字通り「あなた」と「私」2人しかいないんだよ、ということ。つまり、1人が何かの予定を入れた瞬間、もう1人の予定は強制的に育児にブロックされる。仕事以外でそれをする場合、一言断るのがマナーってもんじゃない?

 夫は度々これを忘れて、ひどいときは週7全日仕事や予定を入れてしまうことがあった。わが家はタイムツリーというアプリでカレンダーを共有しているので、夫が予定を入れるとポップアップウィンドウで表示される。打ち合わせ中や子どもと公園にいるとき、何度パッと表示される夫の予定通達に怒りを燃やしたことだろう。後で気づいて謝ってくれるのだが、時既に遅しである。

 元来、夫は気配りの人である。私の友人家族に会うときはいつも知らぬ間に相手の家庭の子どもにプレゼントするトミカなどを買っていたりするし、何気ない会話の中の相手の興味をちゃんと覚えていて、会話のなかで生じた「行ってみたい」「ぜひ紹介して」といった相手からのリクエストもつなげ忘れることがない。いつも周囲に感動されているほど気配りができる夫が、よりによって妻のワンオペへの配慮ができない。無神経だからではなく、本当の意味で私の心情を理解できていないのだ。

休日の大都会でのワンオペの大変さ、分かっていますか?

 産む前に比べて、圧倒的にインプットする時間もアウトプットする時間も制限され、思う存分に仕事ができない苦しみをずっと抱え続けていること。夫は存分に仕事ができていることへのある種の嫉妬。大きな公園ですら駐車場がすぐ埋まる、どこに行っても大混雑の休日の大都会でワンオペ育児をすることの大変さを本当の意味では理解できていない。

 眠くて抱っこ抱っこと道の往来でベビーカーを拒否して大泣きされて途方に暮れること。お手洗いに行きたいのにおもちゃに夢中で置いていけなくてずっと我慢すること。そういうことを、分かってくれていないのだ。2人しかいないのに、夫が理解者ではない現実が胸に突き刺さって涙が止まらなくなる時がある。

 そうしてたびたび、私は何度か夫に急に冷たくなることがあった。そのたびに、なんて2人育児は不健全なんだと思う。ここにもう1人いれば、あるいは娘を連れて帰れる実家があったら(私たち夫婦は実母がすでに他界している)、私はここまで苦しまずに済んだだろうと思う。こんなにも夫の予定に憤りを覚えずに済むし、加害者のように思うこともなかった。