子どもは神隠しにあうがごとく、突然視界から消える

 幼児(とくに男の子)が視界から消えるときの神速ぶりをご存じか。5Gか!と突っ込みたくなる光速ぶり。もはや肉眼ではとらえられない、世界の引田天功をも上回る天然のイリュージョニストである。例えばそれは、自販機で麦茶をピッと押してガコンと出した瞬間。消毒液を出そうとポーチを見た瞬間。そこにいたはずのオチビーズが消えるんです。それはもう、神隠しにあったんじゃないかと思うコツゼンぶり。しかも、そう遠くには行ってないはずなのに、探せど探せど見当たらない……!

 どれほどのパパたちママたちがわが子の神隠し芸にうろたえ、涙目でパニックしてきたことでしょう。これを避けるためには、けっこうな緊張感をもってわが子を視界に常にロックオンしておかねばならない。公園は親たちによるロックオンレーザービームだらけ。私たち姉妹家族に関していうと、5人のオチビーズがいて、仲良く一緒に遊んでくれるならまだしも、二人はかくれんぼ、二人はアスレチック、一人は道なき道を行くなど、だいたい分散行動なわけです。かくして私たち姉妹も分散するため、はじめたママトークが起承転結までいくことの方が珍しい。「この間さ~」と、「起」でもって終わることもよくある

長女ゆっちゃんはもうすぐ5才。お姉ちゃんとして、ワンオペの日はずいぶん助けてくれるようになりました
長女ゆっちゃんはもうすぐ5才。お姉ちゃんとして、ワンオペの日はずいぶん助けてくれるようになりました

 もっともよく出るフレーズは、「何話してたっけ?」

 そんな状況で「ちょっとお手洗いに行きたいので、うちの子も見ててもらえる?」なんてたーーのーーめーーるーーかーーー。首が360℃回るならともかく、自分の子さえ見失うのに人の子を預かる/預けるなんで、とてもじゃないけど責任が持てません。そんなわけで「見ててもらえばいいじゃん」案は盛大に「却下!」

 「じゃあ家に帰ったらまず最初にトイレに行けばいいじゃん……」というのも、あまーい! ヘソで茶を沸かせる甘さ。いいですか、まず帰宅後は、ママたちの脳内時計は「帰宅時間」ではなく、「就寝時間」にロックオンされているのです。寝かしつけに向けて逆算し、タイムマネジメントに全精力を注ぎ込む時間なのであります。時計を何度見るんじゃというチェックぶりで、夕食づくりだ、着替えだ、お風呂準備だなんだをこなし、カオスな食事を終え、さぁ自分のごはんの番……というときが一瞬の休息なのであって。耐えに耐えてきた膀胱が限界を迎えるときなのである(それに、帰宅直後はまずもって子どもたちのトイレラッシュである)。

フードコートにて。歩き出した1才×ワンオペ×ごはんの時間=地獄。床一面に広がる麺類とビショ濡れの服…
フードコートにて。歩き出した1才×ワンオペ×ごはんの時間=地獄。床一面に広がる麺類とビショ濡れの服…