子どもがなりたい職業ランキングでも上位のゲーム業界。とくに、女性向けのゲームも増え、実際にゲーム業界で活躍する女性も少なからずいます。そこで今回は、コーエーテクモゲームス取締役でルビーパーティーブランド長の襟川芽衣さんに、ゲームプロデューサーの仕事や女性管理職としてあり方など、話を伺いました。

コーエーテクモゲームス取締役でルビーパーティーブランド長の襟川芽衣さん。コーエー(現コーエーテクモ)の創業者である襟川陽一、恵子の長女。2016年より、ルビーパーティーブランドのブランド長を務める

ゲームは作るよりプレイしたい!最初は別業界に就職

――これまでのキャリアについて教えてください。

襟川さん(以下、敬称略) 学生の頃は、両親が創業したゲーム会社のコーエー(現コーエーテクモゲームス)でアルバイトをしていました。母がプロデュースした世界初の女性向けゲームと言われる『アンジェリーク』のシリーズ2作目と、スピンオフタイトル『アンジェリーク 天空の鎮魂歌』の企画に2年ほど携わりました。そのとき、仕事はとても楽しかったのですが、なぜか自分はゲームを作るよりプレイする側だなと強く感じて、ゲーム会社で働くことを大学卒業後の選択肢から外しました。

 当時、多摩美術大学のデジタルデザイン学科で学んでいたのですが、デザインよりもホームページを組むプログラミングに魅力を感じて、卒業後友人達の住む大阪のプログラミング専門学校に通いました。その後、WEB制作会社に就職したものの、所属していた部が事業縮小でなくなることになり、どうしようかなと考えていたときに、友人に誘われてイベント企画会社に就職。宝塚歌劇団のOGがショーをするショーレストランでデザイナー、音響、ホールスタッフとして働いていました。

 3年ほどその会社でエンターテインメントに関わる仕事をした後、父からの誘いで、コーエーテクモの持株会社にあたる光優で、国内外の不動産投資を中心としたアセットマネジメント業務を引き継ぎました。いままでのキャリアと全く関係ない仕事でしたが、不動産はクリエイティブな部分も大きく面白くて、約10年間従事しました。

 そんな中で35歳を過ぎた頃、ふと「両親の本業を知らずして、このまま生きていていいのか」と思いました。両親が引退した後に、コーエーテクモの中身がよくわからないまま持株会社である光優を引き継いでいいのか、と。そこで、父にそのことについて相談した結果、2013年にコーエーテクモに入社することになりました。最初は経営会議に参加し、監査役として社内事情や経営面を把握していたのですが、社長である父と会長である母の業務補佐をしているうちに、ゲーム開発の仕事にも多く携わるようになったため、そのタイミングで取締役に選任されました。

 当時、女性向けゲーム開発やメディアミックス展開をしているメディア事業部(現ルビーパーティーブランド)のトップを会長である母が務めていたこともあり、その補佐をするため、女性向けゲーム業界を徹底的にリサーチしました。すると、私が学生のとき、そのジャンルでは当社が圧倒的な存在だったのに、その後たくさんの会社が女性向けゲームを開発し、業界での当社の存在感がとても弱くなっていることに気づいたんです。でも、開発者たちは新しいことへのチャレンジや改革がなかなかできずにいました。素晴らしい資産があり、人材もとても優秀であり、もっと上を目指せるはずなのに、もったいない!なんとかしたい!と感じました。

 もともとアニメやゲーム、漫画をはじめ、演劇やミュージカルなどエンターテインメントが大好きですし、イベント会社にもいましたから目は肥えていると思います。そして気になることは黙っていられない質なので、メディア事業部のゲームやグッズ、CD、イベントのクオリティを高めて欲しいと口を出すようになりました。当時はビジネス的なことは考えず、好き勝手にガミガミ言っていたと思います(笑)。そうこうしているうちに、そんなにあれこれ言うなら自分でやれと社長から指示があり、2015年にメディア事業部の副事業部長を経て、2016年に40歳でルビーパーティーブランドのブランド長に就任しました。

クリエイティブとマネジメントの両方の業務に携わる

――いまの仕事内容を教えてください。

襟川 ルビーパーティーブランドの女性向けゲームや、イベント、CD、グッズなど、ブランドで作っている全てのコンテンツにおいて総合プロデューサーをしています。全体の方向性を決めたり、計画や予算を立てたり、最終的にジャッジをする役割です。また、ビジュアルやシナリオのクオリティチェックも私の仕事のひとつです。

 ゲーム開発については『アンジェリーク』『遙かなる時空の中で』『金色のコルダ』シリーズを中心に、常に4~5タイトルが動いています。ブランド全体の3年計画を立て、それをもとに各プロデューサーに企画を出してもらいながら進めています。取締役として会社のマネジメントや経営に関わるような会議にも出席しているので、クリエイティブとマネジメントの両方の業務に携わっていますね。